イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

湖の古城へ友の写真展に Metamorfosis「変身」自然と人生、女性と木の深い絆・融合

 昨日は友人である写真家、アントネッラ・ピゼッリ(Antonella Piselli)とその写真のモデルでもあり、また芸術作品を創作するアンジェラ・モルヴィッロ(Angela Morvillo)の合同作品展で、モデルとしてアンネーサ・ペトルスキ(Annesa Petruschi)も参加するMetamorfosis Alla ricerca delle Ninfeに、ようやく行くことができました。題名は「変身、ニンフを探し求めて」という意味で、ニンフの定義は、手元にある旺文社『国語辞典』には、「ギリシャ神話で、森・泉・樹木などの精」とあります。

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 わたしがアントネッラと知り合ったのは、2019年にトラジメーノ湖畔で開催された女性写真展、Donna vede Donna「女性が見る女性」で、アントネッラの写真5枚それぞれについて、わたしが日本語の俳句を詠み、さらにその内容を表すイタリア語の短詩も添えることになったことがきっかけです。

「アントネッラ・ピゼッリの写真の主題は、女性に内在する神性です。かつて女性の力が、自然の生命の周期と密接な関わりを持つことから神性を持つものとみなされていたことを踏まえて、この作品では、モデルの女性たちを、宇宙を構成する五つの要素、土、水、空気、火、木を体現するトラジメーノ湖の精に見立てて、命を生み出す自然の力と一体となり、山や湖沼、森、天空などに活力を与える存在として、表現しています。」

と、次に引用する記事ではアントネッラが、その写真展に際して自らの写真に添えた説明を、わたしが日本語に訳してご紹介しています。



 けれども、原始から女性に認められてきた神性や、女性と自然の密接な関わり、ギリシャ神話のニンフのみならず、世界中で太古から女性に託されてきた宇宙や自然の力を媒介する役割、多くの神話や伝説について、アントネッラはその写真展以前から、そうして今に至るまで、さまざまな文献にあたって追及してしていて、

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今回の作品展では、その女性と自然、宇宙の深いつながりを、女性が木などに変身するギリシャ神話の物語のその場面や、女性と木や水などの自然が一体化する様子を通して伝えています。

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 月の影響を女性と同様に木も大いに受けているということ、エジプトなど世界各地における古来の女性や自然にまつわる信仰や伝説も聞くことができて、とても興味深かったです。

 わたしが特に魅かれたのは、冒頭の写真でアントネッラの左に映る、きらめく光と風に波立つ水面にバラが浮かび、女性がその自然と一つになっている写真です。そのすぐ上には、5年前の女性写真展で、わたしが「空に地に木育ちゆく我も伸びゆく」と俳句を添えた写真もありました。

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 かつての女性写真展、そして、今回の写真展でもモデルとなっているアンジェラ・モルヴィッロの作品もまた、自然の風景や素材と人間が溶け合っている、そういう作品で、わたしが写した写真ではわかりにくいのですが、すぐ上の写真で左端にかかっている布には山と人の背骨が重なるように印刷され、その下にある花瓶も女性の体を彷彿とさせます。

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 招待してもらっていたのに、展覧会の初日にちょうど友人が遠くから手助けに来てくれていたこともあり、その後何かと慌ただしかったり、天気が悪かったりして行けずにいたので、昨日は行くことができて本当によかったです。

 数百人が連日訪れたこともあったらしく、「逆に今日、人の少ないときに来てもらって、ゆっくり話ができてよかった」と、友人が言ってくれました。

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 この作品展は、トラジメーノ湖(Lago Trasimeno)の北の湖畔にあるパッシンニャーノ・スル・トラジメーノ(Passignano sul Trasimeno)で開催されていて、会場はすぐ上の写真で右上に見えるRocca medievale di Passignano「パッシンニャーノの中世の城塞」です。

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 城塞への入り口から中に入ると、右手の建物で入場券を販売しているのですが、アントネッラたちの作品展は左手の建物で開催されていて、入場券を購入する必要はなく、入場は無料です。

 余談ですが、冒頭の写真でわたしの眼鏡がずり落ちてしまっているのは、わたしの鼻が低いのでイタリアで作った眼鏡はどうしても下方へと滑り落ちてしまいがちだからです。夫が気づいて教えてくれたらよかったのですけれども。

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 会場となっている城塞を目指して、歴史的中心街の坂道を登っていたら、その道からもトラジメーノ湖が見えて、うれしかったです。

 この作品展はパッシンニャーノでの開催は今日、5月5日までなのですが、トラジメーノ湖の南東にある小さな村、アジェッロ(Agello)でもまた、まもなく開催される予定とのことです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:今年のゴールデンウィーク
Commented by gerneremake at 2024-05-05 21:19
幻想的な作品もあり〜素敵ですね♪

姉は油絵を描いていますが、作品数点を見るのと沢山の作品の中で見入っているのでは〜
世界観が違いますよね。
Commented at 2024-05-05 21:45 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by nonkonogoro at 2024-05-06 09:03
芸術的な作品ですね。
会場も素敵な場所で いいですね。

母は 伊達メガネをかけていますが
いつも ずり落ちてしまうので
鼻止めの部分に 滑り止めを貼ったり
メガネのツルの耳にかかる部分に滑り止めを貼ったり~
色々してみましたが~
結局 新しいメガネに買い換えました。
母は 白内障の手術をしているので メガネは不要なのですが メガネ姿を気に入っているし
たしかに写真写りは 良くて 若く見えるみたいなので~
母を連れて買いに行けなかったので
私の顔に似合うメガネにしました。
本人たちは お互いに似ているとは思ってないですが
皆さん よく似ている~とおっしゃるのですよ。

ちなみに 母の鼻は低くはないと思いますが
私のように メガネをかける部分の骨が
出っ張ってないのだと思われます。(笑)
Commented by koito_hari616 at 2024-05-06 14:20
こんにちは

リンクされている5枚の画像も見ました
水 と言うのがテーマになっていると思います
やはり、神聖な水なんですよね

今回の写真ではなおこさん側の後方の大きな岩?に耳を傾けている女性
鼓動を聞いているような
その上の木の葉の陰から覗いている女性。。

背骨も分かります

Commented by katananke05 at 2024-05-07 13:49 x
描いたはずが入ってない??ので
だぶったらごめんです〜

以前に出されてた写真家の方ですね〜
意欲的に今もとられてますね〜
透けて見えるような 空気のベールのような 水をすかしてみるような そういう写し方がすてきです〜
Commented by getteng at 2024-05-08 01:13
naokoさん
こんばんわ!
なかなかの見事な芸術的作品が並んでいます!
地・水・気・火・木といえば✞のことでもありますね。
Commented at 2024-05-09 16:36 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2024-05-09 22:25
gerneremakeさん、ありがとうございます。
お姉さまが油絵を描かれているんですね!
芸術の世界は奥が深いですよね。
Commented by milletti_naoko at 2024-05-09 22:29
のんさん、ありがとうございます。
作品展も興味深く、中世の町並みも湖も美しい村に
久しぶりに行くことができてよかったです。

お母様は、そういう対応をされているんですね!
なんと眼鏡を好んでかけられているとは。
Commented by milletti_naoko at 2024-05-10 22:36
結うさん、リンク先の記事も見てくださったんですね。ありがとうございます。
女性と自然というとき水は切っても切れない関係にある上に、トラジメーノ湖
を舞台にという前提の写真展なので、水があるんです。

写真を見ての感想をつぶさに書いてくださってありがとうございます。
興味を持ってくださったと知って、うれしいです。
Commented by milletti_naoko at 2024-05-10 22:41
katananke05さん、覚えていてくださったのですね。
ありがとうございます。
一つのテーマを追究し、写真を撮り続けること、そしてそれを
協力して展覧会として発表するのは大変だと思うので、すばらしいですし、
これは美しいなあという写真に、わたしも感嘆しました。
Commented by milletti_naoko at 2024-05-10 22:54
gettengさん、こんにちは! ありがとうございます。
確かに、アッシジの聖フランチェスコも、水や火などに
兄弟姉妹と呼びかけ、神のすばらしさを讃える詩をうたっていますね。
by milletti_naoko | 2024-05-05 20:50 | Umbria | Comments(12)