イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

エトルリア人拓く岩の道通りゴール到達 Via dei Tusci 5日目② Lubriano – Castiglione in Teverina

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 長距離周遊トレッキングコース、Via dei Tusci「エトルリア人の道」の最終日、早朝にバニョレージョを出発し、チヴィタを頂く崖の北面を下り、ルブリアーノ(Lubriano)に到着したわたしたちは、まずはバールで一休みしました。

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Lubriano (VT), Lazio 9:52

 再びリュックを背負って歩き始め、上の写真の教会、Chiesa di San Giovanni Battista「洗礼者聖ヨハネ教会」前の広場の展望台へと足を運ぶと、

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9:53

前夜泊まったバニョレージョ(Bagnoregio)を頂く断崖が右手に、チヴィタ・ディ・バニョレージョ(Civita di Bagnoregio)が正面に見えた上に、バニョレージョからチヴィタへと渡った橋も、そのチヴィタでわたしたちがくぐった地下のトンネルの穴も、そのあとチヴィタを頂く崖の北面をジグザグに下った道も、

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9:53

ルブリアーノ(Lubriano)を目指して登り続けた坂道も、見晴らすことができたので、うれしかったです。

 トレッキングコースの案内書によるとルブリアーノには水が飲める噴水や給水場があるとのことだったので、店で水を買わずに村を歩き続けたのですが、最初に見かけた給水場の水は飲めないと村人が言い、あてにしていた噴水からは水が出ていません。気づくと村を通り過ぎてしまい、その先には水が補給できそうなところがないので、道をかなり引き返して店で水を買わなければいけないのかと思い困っていたら、村の端近くに住む方が、すぐ近くに飲める水が出る給水場がありますよと教えてくれたので、本当に助かりました。

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10:25

 村を出てしばらくは下り坂が続き、道が再び登りに転じると、道の両側に高い岩壁が続くようになりました。古代エトルリア人が岩を切り開いて築いた道、Via Cavaを、わたしたちはそれまでにもトスカーナ州のソラーノなどで歩いたことがあるのですが(記事へのリンクはこちら)、Via dei Tusciの案内書では、この道をtagliata etruscaと呼んでいます。

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10:42

 アスファルトの車道に出て、車道の端を長い間歩いていくと、真っ赤なひなげし(papavero)が美しく彩る麦畑が、あちこちにありました。

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11:13

 さらに車道を歩き続けて、上の写真の前方に見える教会、Chiesa di Santa Caterinaに到着しました。

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11:14

 教会が落とす影の上にレインポンチョを敷いて腰を下ろし、早めの昼食を食べ、ゆっくりと休みます。夫たちが昨年歩いた周遊トレッキングコース、Cammino dei Borghi Silentiで歩いた山や渓谷が見晴らせて、眺めがよかったです。

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12:56

 これ以上暑くなってしまう前にと、一足先に出発した夫に続いて、わたしたちも再び歩き始めました。

 ひなげしの花や風景に励まされながら、歩いていきます。

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Castiglione in Teverina (VT), Lazio 13:13

 Via dei Tusciの出発地点でありかつ到着地点でもあるカスティッリョーネ・イン・テヴェリーナ(Castiglione in Teverinaが、ようやく見えてきました。

 炎天下、丘の高みからふもとまで下り、さらにカスティッリョーネを頂く丘のふもとまで歩いてから、中心街まで登らなければいけないので、このあとが大変でした。

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13:41

 カスティッリョーネの丘のふもとから、歴史的中心街の城壁のふもとまでたどり着いたときには、わたしはすっかり疲れ果てていました。歩く距離が長く暑いので、持っていた水もすべて飲み干してしまい、ふもと近くで見かけた給水場には「この水は飲めません」と書かれていました。

 先を歩いていった夫の姿は、丘を下る直前に一度前方に見えたものの、再び見えなくなってしまいました。そこで、このあたりで腰を下ろして、まだ後方を歩いている友人夫婦が来るのを待って、休むことにしました。城壁の右上の空を、ツバメたちが飛び交っています。

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13:49

 やがて友人たち二人も城壁のふもとにやって来ました。

 実は、この村、カスティッリョーネを6月4日に出発したとき、目抜き通りのバールでVia dei Tusciのスタンプを通行証に押してもらったら、店の人が「城壁のふもと近くに、わたしが経営する宿、La Casetta di Maryがあって、壁画があるから、トレッキングの帰り道にぜひ立ち寄ってね」と言ってくれていました。けれども、このときわたしは、そのために数百メートルを余分に歩くのもつらいほど疲れきっていましたし、友人の一人はその壁画には関心がなかったので、3人で話してその宿に寄るのはやめて、そのまま歴史的中心街へと登っていくことにしました。

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 ところが、城壁前の長い階段をようやく登り終えた頃になって、夫が電話してきて、「今 La Casetta di Maryにいて、皆にもぜひ来てほしいと宿の人が言っている」と言うではありませんか。しかも、その宿の主人のだんなさんが、このトレキングコースを考案したサンドロ・ゴッビさんで、歩く途中で道に迷ったときに電話で尋ねたら教えてくれたのもサンドロさんだったと夫は続けます。

 そこで、マヌエーラとわたしは階段を下りてその宿へと向かい、フランコはそのまま中心街へと登っていきました。1年ぶりに会ったサンドロさんや奥さんと話がはずみ、ゆっくり休んだあと、

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La Casetta di Mary sulla Via dei Tusci, Castiglione in Teverina (VT), Lazio 14:33

Via dei Tusciの全コースを歩き通しましたという証明書、Encomio di Voltumnaをサンドロさんが発行してくれて、わたしたち3人は、その証明書と共に、コースの道のりが大きく描かれた地図の下に置かれた巨大なベンチに座って、写真を撮ってもらいました。

 このときは残念ながらフランコがいなかったので、

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Foto ricordo di fine cammino con Sandro Gobbi, ideatore della Via dei Tusci 15:42

このあと歴史的中心街のバールまで行って、フランコとVia dei Tusciを考案したサンドロ・ゴッビ(Sandro Gobbi)さんといっしょに、周遊トレッキングコースを歩き終えたという記念写真を、コースの地図の前で撮影してもらいました。

 バールでジェラートを食べたあとは、

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Museo del Vino, Castiglione in Teverina (VT), Lazio 15:47

村の歴史にもサンドロさんのご家族にも縁の深いワイン博物館(Museo del Vino)を、サンドロさんに案内してもらって訪ねました。

 地下深くに作られたワイン貯蔵庫は涼しく、ヨーロッパ一大きいというワイン樽もあったりして、とても興味深かったので、このワイン博物館については、また別の機会にご紹介できたらと考えています。

 友人たちが誘ってくれたおかげで、久しぶりにリュックを背負っての数日の徒歩の旅を終えることができ、美しい風景や興味深い土地に出会い、かけがえのない体験をすることができて、本当によかったです。

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Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:今日いち「ハピネス」だった事
Commented by katananke05 at 2024-07-04 10:25
やっとコース終了地点に到着ですね〜
タフな巡礼の旅でしたね〜
それにしてもご主人様
ズンズン先をいかれ とてもタフな方ですね〜
日頃の鍛錬の賜物です〜
あまり 歩き通す方はいないのか
給水場が 以前のガイド版を違ってるのが 不安でしたね〜

完走おめでとう〜
Commented by koito_hari616 at 2024-07-04 11:41
こんにちは

ご無事にフィニッシュを迎えられたのですね♪
おめでとうございます!
色々と悩みながら考えながらのトレッキング
壁画を見ていないからそこのバールはスルーしようなんてこと
話しながら歩くなんて。。。想像すると臨場感が有って楽しいですね
麦畑も赤いひなげしに彩られるなんて。。所が変わると
色も違う。。私は小津安二郎の「麦秋」しか知らないので
緑いろしか浮かばない。。。
巨大なベンチも楽しいですね♪
Commented by ciao66 at 2024-07-04 17:39
地図の下に置かれた巨大なベンチはいったい何だったのでしょう?
面白いけれど、ちょっと意味不明・・・
「あなたはこのベンチのように偉大な存在だ、コースをクリアできたから」ということでしょうか?

とにかくおめでとうございます。素晴らしいです。

到着地点が見えてきた、という写真と、
洗礼者聖ヨハネ教会」前の広場の展望台からの眺めが、
とてもいいねと思いました。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-04 17:47
katananke05さん、ありがとうございます。
10年ぶりのリュックを背負っての数日の旅だっただけに、
無事に歩きとおすことができて、うれしかったです。
道を引き返さずに水が手に入ってこのときはほっとしました。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-04 17:51
結うさん、こんにちは。ありがとうございます!
10年ぶり、そうして50代になってから初めての
寝泊まり道具の入ったリュックを背負ってのトレッキング
だったので不安もあったので、無事に歩きとおすことが
できて、うれしかったです。
麦は実って収穫時期になると、こういう色になるんですよ。
巨大なベンチにもびっくりしました♪
Commented by milletti_naoko at 2024-07-04 18:19
ciao66さん、わたしもなぜか巨大なベンチにびっくりしたのですが、
最近イタリア各地にこういう巨大なベンチが置かれているようです。
この壁画の場合は、家の造りの関係で高い位置にしか描くことができず、
そのため、歩き終えた人の後ろに地図が写るように撮影するには、カメラを
上に高く向ける必要、人が高い位置に来る必要があったために、
このベンチを思いついたのかもしれません。わたしたちが到着したのは、
注文していたこの巨大なベンチがちょうどやって来てまもなくだった
とのことです。

ありがとうございます。50代後半になっても、こうして寝泊まりに必要な
ものも入った重いリュックを背負って歩きとおすことができたと、
うれしいですし、自信ができました。

到着地点が見えてから坂を下る間じゅう、ずっと丘の上のカスティッリョーネ
が見えていて、抜群の舞台効果だなあと、わたしも感嘆しました。
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by milletti_naoko | 2024-07-03 23:24 | Via dei Tusci | Comments(6)