イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

我慢強いつもりのわたしがひどいと思った宿

 6月に夫と友人夫婦と4人で歩いた長距離周遊トレキングコース、Via dei Tusciの旅では、こちらの記事に書きましたように、夫にも相談しながら、基本的にはわたしが宿を決めて、予約をしました。かつての巡礼の旅の経験からも、また夫もわたしも最近何かと出費が多くて節約しなければいけない折でもあり、夫からはできるだけ安い宿をと注文が出ていました。ただし、最初に夫自信が予約をしようとした、出発地点から10km近く離れた宿が、寝袋を持参して朝食なしの素泊まりでも一人25ユーロ必要で、しかも全料金を振り込まないと予約ができないことが判明したので、4人で100ユーロ以内であれば、あるいは寝袋が不要で朝食も込みであれば金額が上回ってもよかろうと判断し、わたしの方でよさそうな宿を探しました。

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 Via dei Tusciのコースの案内書と補足のプリントには、コースと提携していて割引が可能で通行証にスタンプを押してもらえる宿・レストランの一覧があります。ただ、その一覧表には宿の名前と住所、電話番号などが書かれているだけです。そこで、ホテル予約サイトで設備や料金、宿泊した人の口コミが分かる宿を中心に、可能な限りトレッキングコースと提携した宿の中から選び、電話をかけたりチャットアプリでメッセージを送ったりして、予約をしました。

 10年ほど前に2年連続で、日本では俗に四十肩、五十肩と診断されることも多いという癒着性肩関節包炎を、まずは右肩、次に左肩に患って以来、ずっと重いリュックを背負っての数日にわたる巡礼やトレッキングをしていなかったわたしは、肩の痛みはなくなって久しいものの、宿泊料金が高くなりすぎない範囲で、荷物を軽くするために寝袋やタオルが不要な宿だけを選び、かつ、トレッキングコースから離れすぎていて余分に何キロメートルも歩かなければいけない宿は避けて、トレッキングコース沿い、あるいはコースを離れていても数百メートル以内の宿を選びました。

 わたしたちが3日目の晩に泊まった宿は、4日目の晩に泊まったバニョレージョに属する集落ではありましたが、チヴィタからもバニョレージョからも離れているために、特にコースからそれほど離れずに泊まれる宿が、4月に予約しようとした段階ですでに残り少なくなっていました。最終的にわたしが予約した冒頭の写真の宿は、コースと提携した宿ではあったのですが、割引を受けたかったためもあって何度も電話したのに、数日試みてもまったく電話がつながりません。そこで結局、ホテル予約サイトを通じてオンラインで予約をしました。

 宿は入り口のバラの花がきれいで、疲れ果てて到着したわたしたちに、宿の主人が屋外にある小さなプールを利用していいですよと言ってくれた上、シャワーボックスのあるトイレも広く、朝食はトレッキング中に泊まったどの宿よりも種類もたくさんあって、おいしかったです。大人4人のわたしたちが宿泊するこの宿で利用できるベッドはダブルベッド一つと二段ベッド一つであることは、予約した段階で分かっていました。そうして、先に到着したわたしたちは、今回の旅ではそれまでに友人たちがわたしたちにいい部屋を譲ってくれたことが多かったので、二段ベッドがある部屋を選んだのですが、

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二段ベッドの上下のベッドではなく、その下の段のベッドと、別に用意したベッドに寝られるように準備がしてありました。

 けれども、その小さな、畳4畳もあるかないかという小さな部屋には、宿の主人の家族と思われる子供、あるいはその子供が幼かった頃の本棚や机、タンスが並び、

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しかもその家族の私物がいっぱいに置かれていて、宿泊するわたしたちが

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物を置ける場所など、ほとんどありません。

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 ベッドから起き上がったらすぐ履けるようにスリッパを置いておける場所もありません。蒸し暑いのに開けられる窓はなく、ドアの向こうにはテレビと朝食用のテーブルがあるために、少しでも涼しく過ごしたいとドアを開けておくこともできず、プライバシーもありません。

 こんな部屋に人を泊めてお金を取るとは何事かとわたしは思ったのですが、旅行を終えて帰宅して以来、ホテル予約サイトから、宿の評価をするように催促があるたびに、まあ宿の人は親切だったし朝食もよかったから、あまりにも悪い評価を残すのはいかがなものかと、評価はせずにいました。

 それがあまりにもたびたび「宿の人が評価をしてほしいと言っています」という催促メールが来るので、今朝は正直に評価をすることにしました。

 わたしはどちらかというと我慢強い方で、よほどのことがないと苦情は言わない方だと思っていたのですが、わたしが最終的に10中6と評したその宿で、また、広いダブルベッドのある部屋に泊まった友人たちも上の階に暮らす宿の主人の犬たちが夜も走り回り飛び回って吠え続けていたので眠れなかったと言っていたにも関わらず、ホテル予約サイトでの利用者の評価がとても高く、10をつける人が多いこと、わたしたちと同じように主人の家族の所有物でいっぱいの、物置きのような狭い部屋に泊まった人でさえも、苦情は言いつつも評価は7や8としていることに驚きました

 この部屋が狭くて人を泊められるような部屋ではないと思ってしまうわたしは、宿に多くを求めすぎなのでしょうか。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by nonkonogoro at 2024-07-06 08:25
う~~ん
かなりひどい環境だと思われますが
日本で言うと 民宿みたいな感じかな?

あらかじめ こういうスペースだとわかっていても
宿泊される方は いらっしゃるのでしょうね。
Commented by Kazeango at 2024-07-06 10:12
写真を拝見して
私もこの部屋には泊まりたくないし
これでお金を取るオーナーの常識を疑います。
部屋の面積や、開けられない窓もですが、私物が置いてあると言う時点でアウトだわ。
良い事も不満な点も正直に評価したのは正解だと思います。
Commented by koito_hari616 at 2024-07-06 15:27
こんにちは

一言で言うと、足元を見てお商売をされるところ と。。

入り口はとても癒されるし小さなプールも使って良いとなれば嬉しいですが
眠る時にはプライバシーは必要ですしセキュリティも。。
せめて、子供部屋の物には布で覆うとか。。してくれていたら、と、思いますよね
正直に言っても良いと思いますよ。。
多分、二度と利用されないだろうし💦

五十肩などは本当に辛いですよね
そこに重いリュックなどを背負って。。
よく頑張られたと思います
Commented by meife-no-shiawase at 2024-07-06 16:03
なおこさん。こんにちは!
宿やお店の評価って難しいですね。
口コミもかなり予約する際の参考にされることも多いと思いますが
ただ、評価の付け方は個人の好みや感覚の違いもありますもんね。

なおこさんの今回宿泊されたお部屋は、さすがに
宿泊者のことはあまり考えられていないような・・・
民泊など、最低限の条件などはあると思いますが
そういう規定みたいのはあまりないのでしょうか。
安ければどんな環境でもいい・・・という旅人もいらっしゃるでしょうし・・・
でも次に泊まる人のために、点数はどうあれ、正直なコメントって大事だなって思います。
Commented by ビアンカ at 2024-07-06 17:43
今のイタリアで4人で100ユーロ??ですか?もはやボランテイア。文句を言える金額ではないと思います。フィレンツェでは最低なホテルで2人で150は当たり前、郊外田舎なら劇的に安いかというとそうでもなく。朝食を出してくれてその値段ってボランティアレベルです。今の日本でもカプセルホテルでも1人6000円以上??文句をいう方がおかしいと思います。BBではオーナーの私物があるのは普通だし、犬が気に入らないなら正規のホテルに行くべきです。
Commented by ciao66 at 2024-07-06 17:56
「人を泊められるような部屋ではない」というのはその通りですね!
他にいいところがいっぱいあったにしても、食事が良かったにしても、私物を山ほど置いたままの部屋はダメでしょうし、窓もない部屋も考えられませんね。
これは、物置に泊められた、という感じでしょうか。
リンクのお宿の写真ギャラリーには、同じ部屋と思われる写真が有り、そこには余計な荷物はない様ですが・・・
残念でしたね!お疲れさまでした。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-06 20:55
のんさん、長距離トレッキングコースを歩くときは、
できるだけコースから逸れない宿が望ましいので、
もしこういう場所だと分かっていても、他に見つからなければ
宿泊する人はいると思います。

実際、わたしたちがこの日いっしょに歩いた方は、どうしても
宿が見つからず、最後の望みとかけたこの宿でも満室と知って、
一つ手前の村に宿泊していますし……
Commented by milletti_naoko at 2024-07-06 20:59
未来子さん、ありがとうございます。
そう感じるのがわたしだけではないと知って、ほっとしています。
わたしの評価がまた将来誰かの役に立ちますように。
宿の主人が今後はもっと人が快適に泊まれるように考えて動く
手助けにもなるといいのですが。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-06 21:05
結うさん、こんにちは。
たぶんここは、本来名前から言っても、自転車を長く乗って旅する人を
対象にしていたので、こんなところに宿があるだけで満足でありがたい
という人も多いのかもしれません。今でこそ新たにトレッキングコースができて、
そのために村を通る人や村に泊まる人も増えてきているようですけれども。

ありがとうございます。肩の痛みは幸いその後なくなって、少し痛みやかたさが
左肩に残っていたのですが、ウォーキングや筋トレを始めてから、かなり楽に
なり、右肩とほとんど差を感じないほどになってきました。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-06 21:12
メイフェさん、こんにちは!

今見てみたら、ホテル予約サイトの案内ページには
部屋の総面積は書いてあっても、それぞれの部屋の面積は
書いていないのがずるいなと思いました。
20m2でも、一方の部屋がもう一つの部屋の3、4倍の大きさとは
思いもしませんでした。

ありがとうございます。わたしも、わたしが書いたようなコメントがあれば
別の宿を選んだと思いますので、やはり書いてよかったと思うことができました。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-06 21:20
ビアンカさん、近年の値上がりが著しいトスカーナの、それも州都の
フィレンツェはそうなのでしょうが、ここはおそらく、このトレッキング
コースが通るまでは通りかかる旅人もほとんどなく、そのために、バールや
レストランさえ、村人が協力して切り盛りするサークルの営むものが一つ
ある程度という場所なので、同様の周囲の村も一概に料金がずっと低いんです。
トイレとシャワーは共同であるおかげで安くなるのでしょう。
この宿には112.5ユーロ支払いました。
確かに安くはあるのですが、わたしたちが泊まった部屋の面積などがきちんと
記載しれあれば決して泊まりませんでした。それぞれの部屋の面積ではなく、
合計20m2だけと書かれていて、まさか一方の部屋が一方の4分の1の広さとは
思いもしませんでした。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-06 21:22
ciao66さん、ありがとうございます。
これなら、知らない人と同じ部屋で眠る山小屋の部屋の
方が、一人ひとりが自由に使える空間がずっと広かったです。
こういうことがないようにと、ホテル予約サイトの口コミも見て
選んだのですが、宿探しは難しいですね。
Commented by yuta at 2024-07-07 15:09
サービス業としてどうなのでしょう?
最近日本では民泊とかあるようですが、
そういうことないと思ってます。
知らないだけかもしれませんが。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-08 21:55
yutaさん、わたしたちもこれまでに、しばしば
B&Bを利用してきましたが、こんなことは初めてなので
驚いています。
Commented by katananke05 at 2024-07-09 10:57
これはちょっとひどいですね、、
せめてこどもさんの私物は 箱にまとめ
高い棚にでも置くべきですよね〜
もう50年も前に 伊豆海岸で
予約もなく行って 宿が見つからず
民宿見たいのに泊まったら
部屋に、、畳で広さはあった、、
だれか おばあさんの服がかかり
スイカが転がっていたから
急遽 おばあさんの部屋をあけたんだな、、と思ったけど、、
ただ 今日本はカプセルホテルが7000円と聞きおどろいています〜
需要供給の 力関係ですかね〜
Commented by milletti_naoko at 2024-07-10 05:04
katananke05さん、なんと日本でもそんなことがあったんですね!
B&Bで民家の一部屋を借りるような部屋にも以前泊まったことが
あるのですが、そのときも、こういうことはなかったので驚きました。
日本のカプセルホテルでもそんなに高いとは!
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by milletti_naoko | 2024-07-05 22:59 | Via dei Tusci | Comments(16)