イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

野バラ今も咲き夏のユリきれいシビッリーニ山脈

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 ファルニョの山小屋からプリオーラ山に登ろうと、車で長い山道を登り続けていたのですが、あまりにも風が激しいので、予定を変更して、途中で道端の駐車場に車を置いて、強風を避け、山の斜面を下っていくことにしました。

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 下るにつれて風が弱まり、道端にはピンクの蘭(orchidea)の花が咲いています。

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 ペルージャのいつもの散歩道では、6月初めにはもう散ってしまっていた野バラ、イヌバラ(rosa canina)が、シビッリーニ山脈(Monti Sibillini)の高みではまだ花盛りです。

 森を抜け出て見晴らしのいい道を登り始めたら、その道端にも花盛りの野バラがあちこちに咲いていました。走る車からではうまく撮れないので、歩く道の傍らにもこうしてところどころに咲いていてくれて、うれしかったです。夫が登ってみようと考えたのは、すぐ上の写真で左上に見える山です。

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 こんな珍しい植物も見かけました。

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 まずはゆるやかな下り道をずっと歩いていき、途中で左手下方に見え始めた家、Casal Gasparri(1572m)の方へと、ブナの木陰を通って下っていきます。この写真を撮った場所からも、この家の左手に給水場があり、その近くに牛の群れがいるのが見えました。今地図で確認すると、わたしたちが砂利道を下り始めた地点の標高は1649mで、記載はないのですが、そのすぐ近くにある駐車場はさらに若干標高の高い位置にありました。

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 2016年のイタリア中部地震で崩れかけて以来、そのままになっている家のそばを通り過ぎ、牛の群れから距離を取りつつ、給水場の傍らを通っていきます。

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 初めのうちは、足もとが石ばかりでひどく歩きにくかったのですが、白い小さなかわいらしい花がたくさん咲いているところがありました。

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 この日は群れになって咲くナデシコ(garofanino)もよく見かけました。

 足もとが草に覆われた地面になると、急な斜面ではあっても、ずっと歩きやすくなります。

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 目指す山の頂はまだはるか高みにあります。

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 後ろをふり返ると、これまで歩いてきた道を見晴らすことができます。

 ピンクの星印で示しているのが出発地点の駐車場、矢印で示しているところに、Casal Gasparriがあり、その右下に牛たちが小さくちいさく写っています。

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 例年、年に1、2度だけ出会えるマルタゴンリリー(giglio martagone)が咲いているのを見ることができて、うれしかったです。

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 イタリアで洗礼者の聖ヨハネ(San Giovanni)を記念する6月24日前後に花が咲くため、イタリア語でgiglio di San Giovanni「サン・ジョヴァンニのユリ、聖ヨハネのユリ」と呼ばれるリリウム・ブルビフェラム(Lilium bulbiferum)の色鮮やかなオレンジ色の花も、この日は斜面のあちこちに咲いていました。

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 もう少し登れば頂上まで行けたのですが、今日はここまでにしようと、尾根道の向こうに見える渓谷や山の眺めを楽しんでから、山を下りました。家に帰って地図で確認すると、この山の名前はピエトラルタ山(Monte Pietralta、1888m)「高石山、石が高い山」でした。

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 上の写真で、尾根道の向こう、右手に見えるのが、ロトンド山(Monte Rotondo、2102m)の山頂だと知って驚きました。ロトンド山はそれまでにも時々西、あるいは南の方角から見たり、南の斜面を車で走ったり歩いて登ったりしたことがあるのですが、北西から見ると、まったく違う山に見えたからです。

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 ピエトラルタ山の斜面を下り終えて、牛の群れの傍らを通り過ぎ、駐車場へとなだらかな坂道を登っていきます。

 時々風が強くなる場所があって、そういうところではこんなふうに草や花が風になびいていました。

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 このゆるやかな登り道の傍らにも、時々ナデシコが咲くところがありました。

 わたしたちが山を下り始めた頃、向かいの山の高みから羊の群れが下ってきていたのに夫が気づきました。羊の群れは、牧羊犬に守られていて、群れが近づくと牧羊犬が駆けてわたしたちのところまでやって来る危険があるからと、かなり急ぎ足で下ったのですが、幸い羊飼いがわたしたちに気づいて、わたしたちが牛の群れや家のそばを通り過ぎるまでは、羊の群れが移動しないようにしてくれていたようで助かりました。

 野バラやユリ、ナデシコに蘭と、花を楽しみながら山を歩くことができて、うれしかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:今日いち「ハピネス」だった事
Commented by ciao66 at 2024-07-08 10:47
「今日はここまでにしようと」…到達した地点からの眺めはなんとも素晴らしいし、花を見る散歩のような?そういう気軽な感じの山行きもいいですね。

ところで、謎の珍しい植物ですが、あのもじゃもじゃは、
ひょっとして翁草の実ではないかと・・・
https://www.hana300.com/okinag2.html
山の上のほうなのでこの時分になった?
Commented by milletti_naoko at 2024-07-08 22:08
ciao66さん、ありがとうございます。
思いがけず花と風景が楽しめてよかったです。

確かに翁草、オキナソウによく似ていますね。
ただ、東南アジア原産で毒性があるらしく、自然国立公園で
見かけたので、これからまた時間のあるときに調べてみたいと
多います。
Commented by katananke05 at 2024-07-09 16:32 x
よく身近に登られる山が
いつもいろんな花が咲いてるのはとても素晴らしいことです〜
モジャモジャはたしかに 私のパシャでも おきなぐさの一種みたいですね〜涼しげな空気が伝わってくる写真です〜
Commented by milletti_naoko at 2024-07-10 05:09
katananke05さん、ありがとうございます。
標高の高い自然の豊かな山では、いろんな花に
出会えるのがうれしいです。

下界は猛暑でも山は涼しく、激しい風が冷たいほどでした。
Commented by meife-no-shiawase at 2024-07-10 11:56
なおこさん。
美しい景色ですね〜!
尚子さんのブログを拝見していると気候が日本と似ているなと思いますが
今、日本は毎日激暑のようですが、まだまだイタリアはそこまで暑くなさそうですね。

緑が目に優しくて癒されます。
Commented by milletti_naoko at 2024-07-10 16:25
メイフェさん、ありがとうございます。
南北に長くて山が多いところが、確かに日本とイタリアはよく
似ているので、そういう意味では気候も似たところがあると言えそうですね。
イタリアには梅雨はなく、例年夏はひどく雨が少ないのですが、今年はたまに
降っていますし、去年だったかのように降るべきでない初夏に降りすぎて
農業に大きな被害が出ることもあります。
日本の猛暑は湿度も高いので、体にかなり負担が大きいことと思います。
イタリアも今週からは再び気温が上昇気味で、今日あたりからペルージャでは
最高気温が35度の日が続き、他の地域では38〜40度などという予報も
出ているようです。エアコンがうちにないので、こういう日が続くと屋内も
暑くなってしまうので、今から心配しています。
by milletti_naoko | 2024-07-07 17:36 | Marche | Comments(6)