あかつきの月のきれいな今日この頃

　あまりの暑さと寝苦しさから、アブルッツォ旅行出発前から、寝室で蚊帳を使って眠っています。網戸を取りつけるのが難しいつくりの我が家でも、蚊帳があれば、夜窓を開け放し、蚊の心配をせずに眠ることができます。

　ただし、寝室や南向きのトイレ以外の窓は、夜中に泥棒が入ってくる恐れもあるために、明け方になって空が明るくなり始める頃に開けるようにしています。最近ではペルージャの日の出は午前５時５０分頃となり、天気予報を見ると、ちょうどその頃が１日で一番気温が低い時間帯になっています。

Perugia, Umbria 23/6/2024 6:11
　昨日の朝、夜明けから２０分ほど経った頃に起き出して、家の窓を開けて回ると、日曜の町の丘（Colle della Città della Domenica）やその上の空がほんのりと赤らみ、欠け始めた白い月がその上に見えて、とてもきれいでした。
24/7/2024 5:57
　一方、夜明け直後に窓を開けた今朝は、空はまだ暗く、月がほんのりとピンク色を帯びていました。
　満月を見逃してしまった月を、早朝にこうして見られると、なんだか宝物を見つけたような気分になります。今朝はそれと同時に、中島敦の『山月記』をふと思い出しました。白み始めた空で輝きを失い始める月と、虎と化した李徴から徐々に失われていく人間性。かつて日本の高校で何度も教えた『山月記』を奥深い名作だなあと改めて感じつつ、明日はさらに欠けていくであろう月を思いました。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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