イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

濁り水藻が繁殖30年ぶりと海辺に住む友も嘆く今年のロマーニャの海、アドリア海

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 わたしたちがアドリア海近くに住むリミニ県の友人を訪ね、海辺に行った8月15日と翌16日は、フェッラゴスト(Ferragosto)とその翌日だったため、

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Igea Marina (RN), Emilia-Romagna 16/8/2024

朝も夕方も、砂浜にも海にも大勢の人がいました。

 朝は比較的海の水が澄んでいる上に、午前8時頃に海辺の清掃が行われるため、その直後の海はきれいだそうで、また、上の写真を撮影した朝10時半頃には青く、そして、

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夕日が傾き始めて、空がたそがれてきはじめた頃の海は、注ぐ光や見る角度によっては銀色に見えました。

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 けれども、互いに比較的距離の近い砂浜であっても、時間帯や場所によるのですが、イタリア語でmucillagioneと呼ばれる大量に発生した水藻の粘液質、小学館の『伊和中辞典』によると「植物粘液質」のために、海水が黄色く、あるいは茶色に濁り、濡れた砂浜がぬるりとして滑る場合さえあり、ごく一部ではありましたが、波打ち際が茶色がかった泡で覆われているところもありました。

 朝から夕方にかけて汚れがひどくなると友人たちからは聞きましたが、朝10時半頃でも、海を歩くと、海中の自分たちの足が黄色く見えるほど、水が濁っています。浜から離れた水が深いところなら水がきれいなのではないかと思い、行って潜ってみた夫が、それでも海の底がまったく見えないと言っていました。

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 今年のリミニの砂浜では、死んだカニや、海の底に住むという魚の死骸も、浜辺を散歩中にあちこちで見かけました。異常発生した水藻の粘液質のために、呼吸ができずに死んでしまったのではないかと、夫は言います。

 8月3日・4日に友人の誕生日を祝ったマルケ州の海でも、特に日曜は海の上に水藻が浮いていたり、浜を歩いていたら足が滑ったりしたところが時にありましたが、ここまでではありませんでした。実は、リミニ県の同じ浜辺を義弟夫婦がフェッラゴスト直前の週末、8月10日・11日に訪ねていて、二人からあまりに海が汚れているので驚いたとは聞いていました。けれども、わたしたちが海からペルージャに帰って話を聞くと、そのときには海の濁りや汚れはここまでではなかったそうです。

 こんなことは30年ぶりだと海辺に生まれ育った友人が嘆き、ニュースによると、1989年以来だということです。例年にない酷暑が続いているために海水の温度が上昇したこと、そして、海に注ぐ川の上流地域での豪雨により大量の淡水が流れ込んだことが原因で水藻が繁殖したことが原因で、健康には害がないけれども、漁業や海水浴客、観光業には大いに害をもたらすこの植物粘液質の量が異常に増えてしまったのだということです。

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 わたしたちは、海が汚れていることはすでに聞い知っていましたし、フェッラゴストとその前後には海水浴客でごった返すであろうリミニにあえて出かけたのは、友人たちと過ごすためでした。それに、宿泊したのは、よく山の家に遊びに来てくれる友人夫婦の家でした。ですから、はるばる出かけた海の水が濁っていて、あまり泳ぐ気になれなくても、少し残念に思うくらいで済みます。けれども、そうと知らずに、高いお金をずいぶん前から払って楽しみにして、この海で長く過ごす人も大勢いたことでしょう。

 6月から少しずつ悪化していったようで、海や浜辺の状況はそのときそのときの天気や場所にもよるようです。このあと訪ねたマルケ州のマロッタの海では、わたしは濁りやぬめりはそれほどではないと思い、夫は海がきれいだと言ったので、状況がはるかによかったものの、日によっては、さらに南にあるアンコーナでさえ、海が濁ったり砂浜がぬめったりすることがあるそうです。

 ロマーニャの海岸は、海水浴客用のビーチ施設やホテルが多く、また夜も買い物やコンサートなどが楽しめる町が多いので、結果として比較的手頃な値段で宿も見つけやすいために人気があります。いつもはロマーニャの海に行く人たちからも、先日の金婚式では、「できるだけ海がきれいなところで過ごしたいから、今年はアブルッツォの海に行こうと思う」と聞いたりもしています。

 間接的に原因となった気温の上昇には人間が関与しているけれども、水藻の発生や粘液質の増加は自然現象であり、健康には害はなく、市町村が禁止しない限りは泳ぐことができるけれども、水藻やその粘液質、そのために生じた泡などには、その中にクラゲや危険な物質が紛れ込んでいる場合もあるために、近づかない方がいいとのことです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by koito_hari616 at 2024-08-22 10:56
こんにちは

海や川、山が荒らされるのは人に還ってきますね
Commented by katananke05 at 2024-08-22 11:57 x
ここ何年も海に行ってないけど
最近の日本の海岸は、、ああ、、近辺のですが 綺麗だと思いますよ〜
川も水が綺麗ですしね、、
近くの川もぼらが 上がってくる様になったしね〜
オリンピックのパリセーヌ川、、
あんなところで よく泳ぐもんだと驚愕です〜
日本海側は 面してる北の国からの ゴミがいっぱい流れ着いていて、、 それには驚きましたけどね〜
Commented by noukosoku at 2024-08-22 12:45
いつもご訪問ありがとうございます!

確かに茶色い海ですね・・
悪臭は無いような感じですが流石に泳げないですね・・・。
それにしても海水の栄養素が利用できる生き物がいないのですかねえ・・・
愛知ではここ5~6年あさりが不漁でした。
原因は排水が基準以上に清潔になって栄養失調であさりが死んだようです。
当局は基準より清潔な状態にして下水処理していたのを基準一杯まで戻してここ1~2年は改善されてきました。
そういう二枚貝が居ればと思うのですが自然は失われると難しいでっすよね・・
Commented at 2024-08-22 14:42 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by pothos9070 at 2024-08-22 15:32
カモメさんのいる1枚が情緒があって良いですね♪
藻が繁殖しているというのは良いことなんだろうと
単純に思ってしまいますが、ずいぶんと悪さをする
藻もあるんですね(・・;
いろんな自然界のバランスが崩れてきているのかな・・?
美しい海が戻りますようお祈りしています(´ー`)
Commented by getteng at 2024-08-22 17:27
naokoさん
これも異常気象が原因だと思います。
暑すぎる所為なのかも分かりませんが、最近、カラスが全く飛んでいません。
移動したのか、自ら間引いたのかは分かりませんが、おかしな現象です。
Commented by milletti_naoko at 2024-08-24 02:59
結うさん、こんにちは。そうなんです。
自然現象ではあり、直接には健康に害がないとのことなのですが、
観光や漁業には大いに損害があり、間接的な原因である気温の
増加、温暖化は人間のためだと言われています。
Commented by milletti_naoko at 2024-08-24 03:09
katananke05さん、イタリアもきれいな川や海も多いのですが、
アドリア海の北は、推進も浅くて両側が陸に挟まれていて海流も
通りにくいために、夏には気温が上がってしまい、こういうことも
起こるのだそうです。

プーリア州の特に南方の海はきれいだと、プーリア出身の学校の人たち
からかねがね聞いているので、いつかぜひ行ってみたいです。
Commented by milletti_naoko at 2024-08-24 03:19
noukousokuさん、条件が重なって、水草が異常に
繁殖してはしまったものの、自然現象なので泳ぐのに害は
ないということで、わたしたちも泳ぎましたし、それでも
泳ぐ人は大勢いました。これは夕方7時頃に撮影した写真で、
朝の方が海がずっときれいなんですよ。

なんと水が清潔になりすぎたためにアサリがとれなく
なってしまったとは!
Commented by milletti_naoko at 2024-08-24 16:07
となりのトトロさん、コメントを、そして楽しみに
読んでくださってありがとうございます♪
今、イタリアに旅行でいらしているんですね!
書き方が悪くてすみません。ぬるぬるしていたのは
海水ではなくて、たまにそういう浜辺があって、足が
滑りそうになり、実際、ガビッチェ・マーレでは一度
転んでしまったこともあります。どうやら水草の生じる
粘液質がタンパク質と糖分でできていて、海の水との反応で
せっけんのようになって泡が立つためだそうです。
わたしは水面に膜を覆っているのには気がつかなかったのですが、
ひょっとしたら、それも粘液質のせいかもしれませんね。
ただし、大勢が海に殺到すると、おっしゃるような
事態にもなるのかもしれません。最近は海の生物に優しい
日焼け止めも売っています。ゴミや髪の毛が浮いているのは
わたしは見たことがないのですが、それはひどいですね!
イタリア人が夏に海に行くのを愛するようになった背景もおもしろい
ので、きっといつか夏の間に記事にしようと思いつつ書けていないことを、
いただいたコメントを機に思い出し、反省しています。
Commented by meife-no-shiawase at 2024-08-25 18:58
猛暑ももとはといえば人間の生活活動が大きな影響を与えているとも聞きます。水藻の発生は自然現象だと聞いても
こうやって自然の異常な現象を知ると心配になります。

最近のニュースでは、これまでに経験したことがない、といった表現をよく聞くようになりものすごく恐怖心を感じます。
Commented by milletti_naoko at 2024-08-25 22:47
ぽとすさん、ありがとうございます。
カモメをはじめ水鳥は、近づく前に飛び去ってしまう場合が
多いのですが、このカモメはまだ若いので人を恐れないからか、
かなり近くから撮らせてくれたんです。おかげで自分でも
気に入った写真が何枚か撮れてうれしかったです。
ここまで増えてしまったら害が大きいので、
やはり自然界も微妙なバランスの上に成り立っているのだなあと
改めて思いました。
気温が下がり水温が下がってくれば自然に解決するそうなのですが、
逆にそれを待つしかないようです。
幸い義弟夫婦や姪たちが訪ねたアブルッツォやプーリアなど、南方の
アドリア海はきれいだったそうです。

そうそう、黄泉売り新聞には思いっきり受けました。
座布団20枚!!
Commented by milletti_naoko at 2024-08-25 22:53
gettengさん、カラスが問題だというニュースを
イタリアでも聞いていました。そのカラスを
見かけなくなったとは!

異常気象の影響は予想できないところにまで及んでいて、
心配ですね。
Commented by milletti_naoko at 2024-08-25 23:02
メイフェさん、おっしゃるとおりです。わたしたちの目に
今は見えない、そういう害も自然界に増えてきていることでしょうね。

どうか少しでも皆が意識して心がけることで、これ以上の温暖化を
食い止めていくことができるといいのですけれども。
by milletti_naoko | 2024-08-22 00:25 | Emilia-Romagna | Comments(14)