イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

古の枢機卿の別荘に哲学の話を聴きに

 昔むかし、赤い帽子に赤い衣のこちらの枢機卿(cardinale)

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Villa del Colle del Cardinale, Perugia, Umbria 1/9/2024

別荘として使っていた館、Villa del Colle del Cardinaleを、日曜日の夕方に訪ねました。

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 現在は工事中で、こちらの門から一本道を通って館まで歩いていくことができません。

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 そこで緑のに囲まれた道を歩いて、館に向かいました。

 ペルージャの北方にあるテッツィオ山中腹の小村に生まれ育った夫は、19歳のときに家族と共にこの館の近くに引っ越してきて、以後、約20年間暮らしました。

 そのため、この館の周囲にある緑の散歩道を、かつてはよく歩いたのだそうです。

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 館の前から先の門の方を眺めやると、かつては噴水があったであろうところに水がありません。以前は緑は花がもっときれいだったのだと、夫が教えてくれました。

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 この館をわたしたちが訪ねたのは、この日午後7時から哲学者の講演があったためです。

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 夫はすでに館を訪ねたことがあるのですが、この日はちょうど9月最初の日曜日で、館に無料で入場できる日だったので、「早めに館に行って訪問しましょう」とわたしが提案しました。

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 わたしたちが館に到着する少し前から、館内ではガイドによる説明が始まっていました。そこで、わたしたちもすでにガイドのまわりを囲んでいた人々と共に、話に耳を傾けて、皆といっしょに館を訪ねました。

 「とりあえず話を聞いておいて、後で一人で回って写真を撮ろう」と考えていたのですが、ガイドによる館の案内が終わった頃には、もう日が傾いて屋内が暗くなり始めていた上に、哲学の講演が始まるまで、あと十数分しかありませんでした。

 そこで今回は、辛うじて撮影した数枚の写真の中から、いくつかをご紹介しています。

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 「哲学というのは決して単なる学問ではなく、実際にわたしたちの人生や社会に具体的に関わっているものなのです」という言葉もあった割には、講演の内容はひどく抽象的だったのですが、時々興味深い話もありました。

 講演は8時頃に終わり、そのときにはもう暗くなりかけていた緑の中を通る道を歩いて、館の門からそう遠くないところに駐車してあった夫の車まで戻りました。

 たそがれの空の下、緑の木々の向こうに見える明かりのともった館がきれいでした。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by koito_hari616 at 2024-09-06 10:49
こんにちは

このような建物が有るのですね
枢機卿と言うと 力と富 を持ったあまり良い感じの方はいませんが💦
そのような方のお陰でこのような建造物が残り後世の人たちの財産に。。と
そう思うと強ち無駄ではなかったのかなぁ。。。
赤い帽子を見るとそう思います
哲学って難しいですよね、抽象的になりますよね
夕暮れ時の館も良い感じです
門の所の狛犬?みたいな。。。枢機卿の何かなのでしょうか?
Commented by milletti_naoko at 2024-09-06 19:45
結うさん、こんにちは。
そう言えば、イタリアに暮らし始める前までは、枢機卿と言うと
三銃士のリシュリュー枢機卿しか知らなかったので、まさに
結うさんがおっしゃるとおりの悪役のイメージばかりがありました。
確かに昔は、枢機卿にしても法王にしてもそういう人が多いですよね。
門の上にある像はライオンです。この枢機卿を輩出した一家の紋章には、
ライオンはないのですが、ガイドさんの説明が興味深かったので、また
いつか機会があればご紹介したいと思います。
Commented by getteng at 2024-09-06 20:05
naokoさん
そういう難しいイタリア語の講演を聞き分けられるのですから、貴姉の語学力には感心します。
Commented by ciao66 at 2024-09-06 21:37
伸びやかで美しいフレスコ画ですね!
天井のほうは一転して繊細で、
門のデザインも独特なもので、
噴水あとから眺める田園風景も美しく、
さすが枢機卿のお屋敷だなと思いました。
ここが無料入場でガイド付きでおまけに講演付きなら、
それはめったにない、いい機会でしたね。
Commented by milletti_naoko at 2024-09-07 00:14
gettengさん、ありがとうございます。
日本の高校で教えていた遠い昔、各分野の専門家に来ていただいて
全校生徒の前でお話をうかがったとき、専門用語をそのまま使って、
教員にも難しい話をする方がいる一方、高校生でも興味を持ち、楽しく
聞けて分かりやすいような話をしてくださる方がいたのを、
コメントを機に思い出しました。
Commented by milletti_naoko at 2024-09-07 00:21
ciao66さん、内部の装飾が美しいので感嘆しました。
いつか訪ねたいなと思っていたので、とてもいい機会となりました。
今回のガイドつき訪問は無料でもあり短かったのですが、普段は
料金を払えば1時間半ほどじっくりと回って説明を聞けるようです。
今はまだまだ屋内も庭も修復中、工事中のところがあるので、
いつかそうした作業が終わった頃にゆっくりガイドつきで
訪問できたらと思いました。
Commented by meife-no-shiawase at 2024-09-10 11:59
なおこさん♪
ご主人様、このような素敵なところで過ごされていたのですね。
そういったところにまたなおこさんも一緒に行かれて
これまた哲学のお話を聴かれるなんて・・・
哲学って私にはまったくの未知の世界ですが
どんなお話なのでしょう。
でもそれをイタリア語で理解できるなおこさんがすごいーって思います。
Commented by milletti_naoko at 2024-09-11 05:37
メイフェさん、実は後日夫が友人と話すのを聞いて驚いたのですが、
このかつての別荘の修復が始まったのは、ちょうど夫がその近所の家から
今の家に引っ越した約20年前だったらしく、夫が自由に訪ねたり歩いたり
していたのは、誰も何も手をかけない状態であったために、それができた
らしいのです。

哲学の話は、過去の哲学者の言葉や考えを紹介しながら、なぜ現代でも哲学が
必要とされるかを、いろいろな観点から説明していました。

お誕生日おめでとうございます。
幸せと美味しいが、ますます豊かな充実した年でありますように♪
by milletti_naoko | 2024-09-06 06:58 | Umbria | Comments(8)