イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

たそがれの文通まつりにモンテ・デル・ラーゴへ

 土曜の夜は、文通まつり(Festival delle Corrispondenze)が開催中だったモンテ・デル・ラーゴ(Monte del Lago)を訪ねました。

たそがれの文通まつりにモンテ・デル・ラーゴへ_f0234936_23290818.jpg
Monte del Lago, Magione (PG), Umbria 7/9/2024

 紺碧の空の下、夜明かりに照らされた石造りの町並みがきれいです。

 あらかじめオンラインで予約をしておけば、上の写真に並ぶテーブルで食事をすることもできたのですが、

たそがれの文通まつりにモンテ・デル・ラーゴへ_f0234936_23331170.jpg

予定では、この日はポルヴェーセ島ではなくラヴェルナに歩きに行って、その帰りにピザを食べてから文通まつりに行くつもりだったので、食事を予約していませんでした。そこで、わたしたちより先に会場に行っていた友人から電話で聞いて、村のバールでトルタ・アル・テストを食べました。

たそがれの文通まつりにモンテ・デル・ラーゴへ_f0234936_23363233.jpg

 バールへと階段を下っていくと、湖の向こうに見える西の空には、まだ日の光が残っています。

たそがれの文通まつりにモンテ・デル・ラーゴへ_f0234936_23372834.jpg

 バールの屋外席からは、木々の向こうに白い月が小さく見えて、

たそがれの文通まつりにモンテ・デル・ラーゴへ_f0234936_23380874.jpg

すぐ近くの会場で行われていたチャットGTPについての講演も聞こえてきました。

 わたしたちは、このあと午後9時半過ぎから行われたモノローグを予約していたので、前から2番目の席に座って鑑賞したのですが、チャットGTPや人工知能について語るこの講演も興味深く、夫と友人はこの講師の本を買って、サインをしてもらっていました。

 講師の左手にある画面には、こうした科学技術の発展やその利用によって、どういう未来となっていくかを、

たそがれの文通まつりにモンテ・デル・ラーゴへ_f0234936_23422129.jpg

「決めるのはわたしたちだ」と書かれていました。

 先日、ペルージャのかつての枢機卿の別荘で開かれた哲学の講演も、実はこの文通まつりの催しの一つでした。以前には、いろいろなテーマをもとにした興味深い展示や夕焼けを背景にした音楽の演奏があり、街角でジェラートが売られていいて、講演の内容や歌がすばらしかったのに、今回は、展示や街角での演奏、ジェラート販売がなくなっていたのが残念でした。

 以前の文通まつりでは、手紙、文通というテーマに焦点をしぼり、トラジメーノ湖畔にある小さな村であるという特性を生かして、心に響く講演や歌、劇などを楽しむことができていたのに、今は、文通というテーマや地域の個性はあまり考えず、ただテレビで活躍する著名な人を講師として呼び寄せておけばいい、そういうふうに変わってきているように感じられたのです。



 場所をモンテ・デル・ラーゴに限定するのではなく、ペルージャやデルータにも広げるなど、以前とは違う意味で工夫をしてはいるものの、そんなふうに会場を分散させてしまうのも、そして文通にも手紙にもほぼ関わりのない哲学やチャットGTPという講演の内容も、文通まつりのかつての在り方や本来の主旨から離れてしまっているように思います。



 村や湖の特色を生かした、そうして、もっと皆が聴いて心から楽しんで感動できる話し手や劇団や歌手を呼んでいたあの頃の方がよかったなあと、今年のすべての催しを視聴したわけではないものの、どこか残念に思いました。



 それでも、去年は参加できずに終わったように思う文通まつりを、今年も訪ねることができてよかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

Commented by koito_hari616 at 2024-09-12 10:29
こんにちは

文通まつり と聞いて中学生や高校生の時を思い出してしまいました
ちょっとイメージと違っていましたが、タイトル的には良いお祭りだなぁ。。と

リンク先の10年前の文通まつり ヤーコブ・フォーさんのお話が
微笑ましく、更に楽しくこれからどこまで続くか分からない
夫婦の生活のヒントを頂いたように思いました(∀`*ゞ)エヘヘ
やはり、イタリアは愛の国ですね♪
あれから、10年経ちご主人さまはどうなられたでしょうか?チョット気になりました
Commented by milletti_naoko at 2024-09-12 17:17
結うさん、かつては実際に送られた古い手紙や絵はがき、
珍しい記念切手などの展示があったり、手紙についていろんな
角度からとらえた催しがあったりして、企画する側ももっと
心を込めていてくれたんだと思います。

過去記事、読んでくださったんですね。ありがとうございます。
お話も楽しかった上、そうしてかき続けていた絵手紙を
見るのもとても楽しかったです。

今もきっと愛の絵手紙をかき続けているのではないかと、
そうであってほしいと願っています。
Commented by ciao66 at 2024-09-12 20:41
あの頃の方がよかった、というのは残念なことでしたね。
なぜそうなったのか、元の様に戻ることはもうないのか、有るのか・・・
Commented by milletti_naoko at 2024-09-12 22:19
ciao66さん、サンレモで優勝したこともあるシモーネ・クリスティッキの
精神病院からの手紙という舞台に感動して記事を書いたとき、SNSを通じて
知り合った当時企画・運営に携わっていた人は、ペルージャの人で、
彼女にせよ他の人にせよ、知名度ではなく、どれだけウンブリア州の
トラジメーノ湖畔の村であること、文通まつりというテーマに即しているか、
そして、どれだけ人の心に届く、心を打つ内容かということに重点を置いていた
のではないかと思います。決して名前が知れ渡っているわけではなくとも、
聴いて感動した、あるいはなるほどと思った、そういう催しに何度も出会いました。
途中で感染拡大抑制のために禁止されたり制限をされたりした期間があった
ことも、ひょっとしたらこの変化に影響を与えているのかもしれません。
by milletti_naoko | 2024-09-11 23:51 | Umbria | Comments(4)