オリーブ実りシクラメン咲きオルヴィエートにも秋の足音

　土曜に久しぶりに訪れたオルヴィエート（Orvieto）では青空が広がり、

Orvieto (TR), Umbria 14/9/2024
このアルボルノス城塞（Fortezza Albornoz）まで来る前に、観光案内所の前を通ると、海外からの観光客が大勢いました。上の写真は、近づきつつあったその団体さんが写り込んでしまう前にと、慌てて撮影しました。

　城壁の前に、百日紅（lagerstroemia）の花が咲いています。
　アーチを通り、ソリアーナ門をくぐって、断崖周遊トレッキングコース（Anello della Rupe）に出て、時計回りに歩こうと長いながい坂道を下っていくと、

ふり返れば城塞を下から見晴らせる眺めのいいところがあります。この日は、まるい塔の上で眺めを楽しむ人の姿も見えました。
　つい１週間前は最高気温が３５度もあり、暑すぎるからと行かずにいたオルヴィエートも、相次ぐ雨で気温が下がり、おとといは日中の気温がわずかに２０度を過ぎるほどでした。

　そこで、あたたかい日差しをありがたく思いながら、ひなたを歩きました。この夏は長い間雨が降らなかったためか、それとも、この日は天気がよかったためか、崖下を一周すると、凝灰石（tufo）の岩壁が、いつになく白っぽく見えるように感じました。
　崖の南面の下にあるオリーブ畑の間を登っていくと、

オリーブが豊かに実り、実が大きく育っています。

　あちこちの崖に、野生のフェンネル（finocchio selvatico）が育って、黄色い花が咲いています。後ろに写るオレンジ色の木の実もきれいです。
　このあと、西面の崖下に出てから、菩提樹並木近くのベンチに腰を下ろしてしばらく休みました。この崖下周遊コースは、オルヴィエート歴史的中心街を頂く岩壁の東の端にある城塞の門から出て南面を歩いていくと、この西面の下のベンチまでは、座って休めるような場所がまったくないのです。すると、別々に歩いていた夫が通りかかりました。

　一休みしたあと、夫と二手に分かれて崖の北面へと曲がると、その少し前から行く手から強い風が吹いてきた上に、曲がり角のすぐ先からは日陰になっています。

　そこで、リュックからフリースの上着を取り出して着てから、日陰へと進みました。

　雨が降って涼しくなったので、バラ園の花がまた咲き始めたのではないかと楽しみにしていたのですが、どの木もすでに剪定されてしまっていました。

　暴風や豪雨の日があったためでしょう、いつになくあちこちで、土砂崩れがあったらしい形跡や幅２０センチ前後の大きさの落石を見かけました。１か所だけとは言え、トレッキングコースに木が倒れているところもありました。
　崖の北東面の下へと道路を渡り、坂道を下っていくと、町のすぐ近くであるにも関わらず、森が広がっています。このあたりには栗の木が少なからずあり、

緑のいがが落ちているのを何度か見かけました。
　「この下り道では、毎年自生のシクラメン（ciclamino selvatico）を見かけるけれど、あのシクラメンは春咲きだったかな、それとも秋咲きだったかな」と思いながら坂道を下っていたら、

秋咲きのシクラメンだったようで、道の右手にも

左手にも、ピンクのかわいらしい花が咲いています。

　崖の北東面の下には、ヨウシュヤマゴボウ（fitolacca americana）が群生するところもあり、白い花が咲くものもあれば、緑の実が実ったものもあり、枝が色づいてピンクになったり、実が紫に色づいたりしているものもありました。

　緑の生い茂る崖の北東面の下から、中心街および崖下周遊トレッキングコースの東の端にあるソリアーナ門（Porta Soliana）までは、時に平坦な道をはさみつつも、かなり長い上り坂が続いています。そのため、途中で暑くなったので立ち止まってフリースの上着を脱ぎ、さらに坂道を登りました。
　この門の右手にも、そして門のアーチの向こうにも、アルボルノス城塞の城壁が続いています。土曜はここまで登ったとき、カーブミラーの鏡がなくなっていることに気づきました。
　７月２３日以来、約２か月ぶりに崖下を歩くと、涼しくなったのはもちろん、木々の実や花にも、秋の訪れが感じられました。久しぶりにオルヴィエートを訪ねて、おいしい日本料理を楽しみ、ぐるりと崖下を回って歩くことができて、うれしかったです。　

Articolo scritto da Naoko Ishii

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