イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

聖フランチェスコ聖痕800周年控えたラヴェルナ修道院へシクラメン咲く森を通って

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 9月8日日曜日は、トスカーナ州アレッツォ県にあるラヴェルナ修道院を久しぶりに訪ねました。 

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Santuario della Verna, Chiusi della Verna (AR), Toscana 8/9/2024

 わたしたちの一番の目的は、いつものように修道院を頂く崖を取り囲む森を歩くことだったのですが、アッシジの聖フランチェスコが生前よく歩いて祈りを捧げ、瞑想にふけった山や森の方が、聖人の死後に築かれた教会よりも、よりその心に触れることができるようにも感じています。

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 ラベッチャの駐車場から参詣路の坂道を登っていくと、岩の上に建つ修道院(冒頭の写真)が石垣の左手に見えるところがあります。

 この日、わたしたちは、上の写真の奥に見える石の門があるところで右に曲がり、

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垂直に切り立つ岩壁の下を通って、

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ブナの森へと歩いて行きました。

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 ラヴェルナの森でも、もう秋咲きの自生のシクラメン(ciclamino selvatico)の花が咲いていました。

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 この長い鶴のくちばしのようなつぼみが特徴なんですよと、その昔、薬草学講座で、自生のゼラニウムだと教わった花ではないかと思われるこちらの花は、夏の森でよく見かけるのですが、9月になっても咲いていました。

 この日は午後から雨の予報が出ていた上、昼食にとパニーノを買った店の人から、昨晩も雨が降ったと聞いていました。ラヴェルナの森は近年はいつ訪ねても、途中から登山道が泥がちになっていたので、この日もおそらくそうだろうと思っていたら、この夏は雨が長い間降らなかったためでしょう、かつて見たことがないほどに森の登山道が乾いていたので驚きました。

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 修道院へと門を通ると、前回は工事中だったところでその工事が終わり、車椅子やベビーカーを利用する人も、問題なく訪ねられるようになっています。そうして道の脇に新たに、聖フランチェスコの像も設置されていました。

 この先にある食堂内にあるバールでコーヒーを飲み、教会と広場の方へと歩いていくと、

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大きな十字架を高く掲げた修道士に、他の修道士たちが続いて行進していたため、その邪魔にならぬようにと、その行列の手前で数人が待っていました。

 列に並んで行進をする修道士たちは普段は2、30名ほどなのですが、この日はその行列が絶えることなく続きました。

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 このあと、教会前の広場で夫と落ち合い、教会の方を眺めていたら、再び修道士たちが現れて教会の中へと入っていったのですが、100人は超えるのではないかと思われる修道士がいました。

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 今年は、アッシジの聖フランチェスコ(San Francesco d'Assisi)が1224年9月17日にこのラヴェルナ(La Verna)聖痕(stimmate)を授かってから800周年の記念の年であり、

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その記念の日である9月17日の前夜から、聖フランチェスコの命日であり祝祭記念日でもある10月4日まで、記念行事が予定されています。そのためにきっと世界中からフランシスコ会の修道士たちが駆けつけたのではないかとわたしは思うのですが、夫は休暇で来ているのかもしれないよと言っていました。

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 上の写真は、大勢が教会から出たあと、午後4時からのミサのために少しずつまた人が集まり始めた人の少ないときをねらって、教会の内部を撮影したものです。

 わたしたちも参列した午後4時からのミサの説教でも、聖痕の話があり、聖フランチェスコがラヴェルナで「主よ、あなたの苦しみをどうかわたしも感じることができますように」と祈ったその翌日に聖痕を授かったのだと語っていました。

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 昼食のパニーノを買った店で夕方6時半からピザが食べられるので、夕食にはそのピザを食べようと考えていたのですが、ミサが終わったのが5時前だったので、久しぶりに境内にある土産物屋を訪ねました。

 こちらの陶器をはじめ、それまで見たことがなかった商品もありました。店の奥には、主に宗教関係の本が並ぶ本のコーナーもあります。そろそろ時間だからと店を出ようとしたら、雨がかなり降っていたので、夫が店で売っていたポンチョを買いました。

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 雨が降っていたために、1時間前には大勢の人であふれていた教会前の広場がひっそりとしていました。ひょっとしたら、皆、午後5時からのミサに参列していたのかもしれません。

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 幸い雨はすぐに小降りになったのですが、雨で石畳の道が濡れてしまい、かなり急な下り坂なので、滑らないようにゆっくりと下っていきました。

 この日、ラヴェルナの森と修道院の境内を歩くと、聖痕の800周年記念の祝いを控えていたからか、聖フランチェスコゆかりの場所やこの修道院があるカゼンティーノ森林国立公園についての新しい案内看板が、あちこちに立っていました。

 今年5月に新緑のラヴェルナの森を歩いて以来久しぶりに、秋が近づく森を歩き、修道院を訪ねることができて、うれしかったです。

Articolo scritto da Naoko Ishii

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ブログテーマ:私のストレス解消法
Commented by naomi at 2024-09-22 07:07 x
昔アレッツォに住んでいた頃、何度かラヴェルナに行きました。電車とバスでしか行ったことないですが、歩いて行くのも良いですね。
ラヴェルナ、また行きたいです。
Commented by getteng at 2024-09-22 08:32
naokoさん
トスカ-ナといえば、我々にはおしゃれな街という印象があります。
確か、食の街とも言われていませんでしたか?
Commented by PochiPochi-2-s at 2024-09-22 08:46
ラヴェルナは機会があればゆきたいと思っていた場所。
何度も行けて、しかも歩いて行けるとは!
いいなぁ〜と。
Commented by Cecile at 2024-09-22 08:47 x
はじめまして。10年程前にアッシジにローマから日帰りツアーーに参加しました。制限時間内で忙しく回ったのでいつか再訪したいと思っている所にこちらの記事!
実際に聖フランシスコが歩いた道の写真に心が洗われました♪
Commented by koito_hari616 at 2024-09-22 11:08
こんにちは

フランチェスコは歩くのは裸足とか粗末な草履とか
聞きますが。。。ブナの林を歩く時に一緒に歩いてくれているかもしれませんね
野生のゼラニュウムかな?お花はゼラニュウムだと思います
我が家のゼラニュウムのお花ととても似ています
教会の内部を見させてくださってありがとうございます
聖痕は。。。奇跡ですから。。
Commented by lookingforameetin at 2024-09-22 19:13
コメントありがとうございます😊
また北海道に遊びに来て下さいね!
Commented by katananke05 at 2024-09-23 11:19 x
アッシジの聖フランシスが 裸足で?歩いた道とは、、 今も静謐な雰囲気がありますね、、 
散歩しながら小鳥や リスなどと会話をしたのでしょうか、、
「聖痕」恥ずかしながら知らなかったです、、 遺骸はここにあるのですか?
Commented by milletti_naoko at 2024-09-23 15:56
naomiさん、なんとアレッツォに住まれていて、公共の交通機関を
乗り継いで、何度もラヴェルナに行かれたんですね!
心を穏やかな優しい気持ちに包んでくれるすてきな場所ですよね。
わたしたちは、本来は2、30分ほどで行けるラベッチャからの石畳の
参詣路をずっと歩かず、途中から森に入って、1時間半ほど歩いて
修道院に行くことが多いのですが、ラヴェルナ修道院はトスカーナ州にある
カゼンティーノ国立公園の南の端にあり、2009年の秋にその森を
縦断する山道を歩いてラヴェルナを目指し、90km歩く巡礼の旅をした
ことがあります。
・90kmの巡礼の旅〜聖なる森林の山道 Il Sentiero delle Foreste Sacre
 https://cuoreverde.exblog.jp/31166517/

その頃からイタリアでも世界でも巡礼路の整備が進み、アッシジ・
ローマの他にも様々な聖フランチェスコゆかりの地からラヴェルナを目指す、
あるいは通過する巡礼路ができていて、そうして歩いて到着する人も
少なくありません。いつかまた行ける機会が来るといいですね。
Commented by milletti_naoko at 2024-09-23 15:58
gettengさん、トスカーナ州は広大で、自然が豊かなところ、
芸術の町、聖人にゆかりの場所、おいしい町など、いろんな
ところがあります。
Commented by milletti_naoko at 2024-09-23 16:47
PochiPochi-2-sさん、そうだったんですね!
しばしば行くことができて、ありがたいことです。
Commented by milletti_naoko at 2024-09-23 16:55
Cecileさん、はじめまして。アッシジへの日帰りツアーにローマから
参加されたのですね! 往復に数時間を要し、町も大聖堂も回るには
時間がかかるので、確かに急足での旅になってしまいそうです。
いつかまたじっくりと再訪できる日が早く来ますように。
ありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2024-09-23 17:12
結うさん、お宅にもよく似たゼラニュウムの花があるのですね!
可憐な花で森ではかなり長い間咲いています。
結うさんのお宅でもでしょうか。
いつも森を歩いたという記事ばかりでなかなか内部の写真がないのですが、
この記事は義父母と訪ねたときのものなので、普段はご紹介できて
いない内部についても比較的書いている方ではないかと思います。

・義父母とラヴェルナ、聖フランチェスコが聖痕を受けた聖地
 https://cuoreverde.exblog.jp/25527107/
Commented by milletti_naoko at 2024-09-23 17:16
モッチさん、ありがとうございます。
小学校5年生で引っ越して以来訪ねていないので、いつか
行けたらなと思っています。行くことができますように。
Commented by milletti_naoko at 2024-09-23 17:26
katananke05さん、アッシジの聖フランチェスコが亡くなったのは、
アッシジ郊外にあるサンタ・マリーア・デッリ・アンジェリ教会が今は
建つところで、この教会は、かつて生前の聖フランチェスコが最も
心にかけ、仲間たちと暮らして祈りを捧げた小さな教会、ポルツィウンコラ
を包み込むように後世に建てられたものです。
・アッシジを歩く1 ~ポルツィウンコラ
 https://cuoreverde.exblog.jp/15880076/

一方、アッシジの聖フランチェスコの遺骸が納められているのは、
アッシジ歴史的中心街にある聖フランチェスコ大聖堂(上にリンクを張った
記事の冒頭の写真に写っています)で、わたしも何度かお墓があるところも
訪ねて写真を撮った記憶があるのですが、ブログにはまだ載せていないように
思います。

アッシジを中腹にいただくスバージオ山もカルチェリの庵もありますが、
やはり聖フランチェスコがよく歩いては祈りを捧げたり瞑想にふけったり
していたようです。

ペルージャはアッシジから近い上に、うちは義父母が聖フランチェスコをとても
敬愛していて、その記念日である10月4日を結婚式に選んだほどで、
地元の星人でもあって夫も聖フランチェスコを敬愛しているので、わたしも
聖痕のことを知っているのですが、カトリック教会には聖人がたくさんいますから、
日本でいろんな聖人について知るのは難しいですよね。
by milletti_naoko | 2024-09-22 06:31 | Toscana | Comments(14)