イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

『上を向いて歩こう』がイタリアの広告で流れ 昔イタリア語版もあったと知りびっくり

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 昨夜シックス・キングス・スラムの決勝戦をテレビで見ていたら、途中で何度か流れた広告の中に次の広告がありました。最初に流れたときに夫が「この歌、日本語の歌じゃないの」と言ったのですが、わたしはぼんやりと見ていたので気づかず、2度目に流れたときになって注意して耳を傾けました。

 そうしたら、確かに日本語の歌で、しかも坂本九の『上を向いて歩こう』ではありませんか。





 この歌がSukiyaki songとしてアメリカでもヒットしたことは、かつて日本で社会人になってから英語を再勉強していたときに知っていました。それにしてもどうして、イタリアの広告でこの歌が使われたのでしょう。イタリア人の夫はこの歌を知らないと言います。

 それで調べてみたら、このガムを製造・販売する企業が、オランダのファン・メレ社とイタリアのペルフェッティ社の合併によって、2001年に設立された企業であり、この歌がアメリカより先に、まずはヨーロッパで紹介されて大ヒットしたことが分かりました。というわけで、元となった企業の一つがオランダの会社であり、『上を向いて歩こう』がかつて流行した国である上に、市場となるヨーロッパの他国、イギリスやベルギー、フランスでもがヒットしていたので、採用されたのだと思います。




上を向いて歩こう
涙がこぼれないように

 昔懐かしいこの歌を久しぶりに、まさかイタリアのコマーシャルで聞くことになるとはと、驚いています。


*追記(イタリア時間同日21:23)

 SNSでこの記事を紹介したら調べてくださった方がいて、イタリア歌謡界の大御所、クラウディオ・ヴィッラ(Claudio Villa)が、『上を向いて歩こう』のイタリア語版を1963年に発表していたことが分かりました。





 題名は『Sukiyaki』で、この言葉が繰り返される箇所がありますが、歌詞の他の部分はイタリア語です。

Vuoi dirmi Sukiyaki, mia Suki-Sukiyaki
perché non hai non hai più quel sorriso dolce?

 このイタリア語を日本語に訳すと、わたしなりの意訳なのですが、

「すきやき、ぼくのいとしいすきやき、
 言ってくれないかい。どうしてあの優しい笑顔を失ってしまったのか。」

となり、なんと「すきやき」が女性の名前となっています。「きっとぼくは泣かずにいられないだろう」という歌詞もありますので、詞を書いたモゴル(Mogol)は歌の内容は知っていたであろうに、「すきやき」が料理名であって女性の名前ではないということを、教えてあげられる人が当時いなかったのか、それとも知っていて、世界ではやっている歌の名前をそうやって歌詞に取り入れたのか。『蝶々夫人』は主人公の名前が作品の題名となっているので『Sukiyaki』もそうだと思ったのか。

 それは謎なのですが、冒頭で「suki sukiyaki」と歌うのを聴くと、日本人のわたしの耳には「好き 好き」と響くのでありました。

 歌詞に興味がおありの方は、こちらのページで読むことができますので、ご参照ください。


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La canzone giapponese, "Ue o muite arukō" di Kyū Sakamoto del 1961
all'inizio del nuovo spot di Air Action Virgosol!
Ebbe un grande successo nel mondo tra il 1961 e il 1963,
conosciuta con il titolo, "Sukiyaki". Claudio Villa cantò la versione italiana.
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Articolo scritto da Naoko Ishii

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Commented by tobelune at 2024-10-21 08:39
「上を向いて歩こう」♫・・・何十年ぶりかで聴きました。
懐かしい〜〜〜! 小学生の頃、意味も分からずにマネして歌っていたのを思い出します。
今聴いても、良い歌ですね。明るいような切ないような曲調が人の心を揺さぶるのでしょうね。タイムスリップしたような気持ちになりました。ありがとうございます。
Commented by minoru2703 at 2024-10-21 09:09
「上を向いて歩こう」は大好きな歌です
作詞は永六輔なんですが詩もいいです
80年代にはテイスト・オブ・ハニーという黒人バンドが歌ってアメリカで再度大ヒットしました
でも歌詞は原曲とは全く違う内容になっていました
イタリア語の歌詞もGoogle翻訳してみたけど日本語の歌詞とは全く別物ですね

Commented by Kazeango at 2024-10-21 12:27
イタリア版はすっかり恋の歌になってしまっていて面白いですね!
このことで、「上を向いて歩こう」は歌詞ではなくて
メロディーが欧米人にウケた事が良くわかりました。
私にも、好きって聞こえるので
好き、好き、ヤキ(さん)ってイメージです。
愛しい人の名前はヤキさんかも(笑
日本人のイタリア語学習者が覚えて歌うのに良い曲だなとも思いました。
Commented by Penta-02 at 2024-10-21 12:42
へ〜、坂本九の「上を向いて歩こう」がイタリアでCMで使われているんですね。
海外でヒットした最初の日本の曲は、アメリカよりも先にヨーロッパで人気が出たのは知らなかったです。

クラウディオ・ヴィルラはチンクエッティよりも前から何度も来日していて、雑誌では自宅に畳の部屋があると書いてあったのが記憶にあります。
この「Sukiyaki」、「上を向いて歩こう」をヴィルラが歌っていたのかと最初思ったら全然違う曲でしたね。(笑)
Commented by koito_hari616 at 2024-10-21 13:47
こんにちは

日本人としてとても嬉しいですね
アメリカだけでヒットしたと思っていました
そう言えば双子のデュオのザ・ピーナッツも昔のヨーロッパで
人気だったとか。。
イタリア語訳は読みましたが、やはりすき焼きさんと言う女性なんでしょうね💦
そう言うのは沢山ありますよね、今は少なくなったんでしょうが
ラブソングになっちゃう。。( ̄m ̄〃)ぷぷっ!
メロディが覚えやすく明るいから。。♪
Commented by getteng at 2024-10-21 16:42
naokoさん
そういう事実があったんだ!
以前、アメリカでなぜ「すきやき」なんだと文句を言っている連中がいましたよ。
Commented by chronoir2023 at 2024-10-21 21:09
なおこさん、こんばんは。
いつもイタリアの美しい写真を楽しく拝見しております。

今日の記事、大変面白く拝読(拝聴も)しました。
しみじみと胸にしみるあの歌をイタリア人はこうやって朗々と歌ってしまうんですね。
「すきやき」が女性の名前になっているというのも、
そのおおらかでトンチンカンな感じがなんとも魅力的。
あまりに面白かったので、コメントしてしまいました……。
Commented by meife-no-shiawase at 2024-10-21 21:10
名曲ですね・・・。
今も歌い継がれている、それも世界中にってすごいです。
イタリア語バージョンがあったなんて~。
というかそちらがアメリカよりも早く1963年なんて
そんな時代にあったとは。

日本人からするとsukiyakiの連呼にはちょっと不思議な感じもしますが(笑)。

中国語でもこの歌は歌われています。
でも歌詞はSukiyakiは入っていないです。

それにしてもイタリアのCMに日本語の曲で流れるなんて驚きでしたね。
Commented by ciao66 at 2024-10-22 16:07
びっくりです。SUKIYAKIが女性の名前になっていたとは!
歌の名前がアメリカで変わった時点で、元のすき焼きの意味は失われていたでしょうから、不思議はないのかもしれませんが、それでも面白いですね!

先日、JR川崎駅で電車が止まると、上を向いて歩こうのメロディーが流れて、あれっ?と思ったのですが、坂本九は川崎市出身でした!
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 20:38
とべるねさん、こちらこそありがとうございます。
わたしも幼い頃に耳にはさんだくらいで、知っているようで
知らなかったこの歌を、今回何度か聴いてみて、いい歌だなあ
と思いました。

歌詞は分からなかったであろう海外の人にも人気が出たというのも、
きっとこの明るく切ない歌の魅力が言葉を超えて伝わったから
なのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 20:45
みのるさん、すてきな歌ですよね。
わたしも今回聞いてみて、歌詞も歌もメロディもすばらしいなあ
と思いました。アメリカでも後に違う歌詞でまたはやったのですね。
スタジオジプリの『コクリコ坂から』でもこの歌が挿入歌として
使われていたことは、映画はイタリアに来てからDVDで見たものの
記憶になかったのですが、イタリア語のWikipediaの解説を見て
知りました。時代設定が1963年(昭和38年)なので、まさに
歌が日本と世界で一世を風靡していた、そういうときだったからでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 20:49
未来子さん、おっしゃるように歌詞はもちろん歌声やメロディ
にも魅力のあるすてきな歌だからでしょうね。
語彙や文法は難しいのですが、イタリアの学習者が好きなスタジオ
ジプリの作品、『コクリコ坂から』の挿入曲にもなっているという
ことなので、なんらかの形で使えたらと考えています。
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 20:57
Pentaさん、そんな昔に日本の歌が欧米ではやったとは!
おもしろいですよね。そう言えば、黒澤明監督の『七人の侍』
のリメイク映画『荒野の七人』がアメリカで上映されたのが
1960年ですから、あの頃も日本への関心はあったのでしょうね。
なんとクラウディオ・ヴィッラ、何度も日本に来ていたんですね!
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 21:50
結うさん、こんにちは。思いがけないことで、うれしかったです。
いい歌ですよね。
イタリア語版、どうしてすきやきを名前にしたのだか謎です。
「ひとりぼっち」と涙から、恋の歌になったのでしょうか。
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 21:56
gettengさん、そうなんです。
いったいどうしてすきやきなのか、そのあたりの実際のところは
どうなのでしょうね。歌の世界でのヒットの背景には、Sukiyaki
といういかにも外国語風の不思議な言葉もあったのかもしれませんね。
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 22:00
chronoirさん、コメントをありがとうございます。

イタリア語ではこんなふうに変身してしまっているのが
おもしろいなと思いました。それにしても、すきやきを
女性の名前にしてしまうなんて!
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 22:14
メイフェさん、おっしゃるとおり名曲ですよね。
言葉が分からないであろう欧米でも、しかもSukiyaki
という名前で大ヒットしたとはすばらしいと同時に
おもしろいなあと思いました。わたしも夫も知らない
イタリア語版の歌を聴いて歌詞に驚きましたし、
おっしゃるように名前として使って連呼するとはと
びっくりです。

中国語でも歌われているんですね!

実はたまにイタリア語の歌に日本語がひょいと出てきたり、
どういうわけかイタリアのラジオで日本語の歌が流れたり
したことはあったのですが、CMに使われたという
ことに驚きました!
Commented by milletti_naoko at 2024-10-22 22:20
ciao66さん、どうしてまたSukiyakiを女性名にして
しまったのでしょうね。Mogolと言えば、バッティスティとも
組んで多数の名曲を世に送り出した作詞の大御所なのですけれども。

なんと坂本九さんは川崎の出身なんですね!
わたしが生まれたとき両親は横浜に住んでいたのですが、生まれたのは
川崎の病院だったので、何だかうれしいです。
by milletti_naoko | 2024-10-20 23:58 | Film, Libri & Musica | Comments(18)