湖で夕焼け・月を見てピザとハンンバーガー パッシンニャーノ

　トラジメーノ湖（Lago Trasimeno）の北のほとりにあるパッシンニャーノ（Passisgnano sul Trasimeno）は、中世の町並みに趣があり、ウンブリア州に数あるイタリアで最も美しい村の一つです。

Passignano sul Trasimeno (PG), Umbria 5/10/2024
　中心街にある古城は、てっぺんからの湖の眺めもすばらしく、時に展覧会の会場ともなるのですが、

この古城の下、湖のほとりに、テラス席がガラス窓で覆われたピザとハンバーガーのおいしい店、Nonsolopizzaがあります。

　岸辺を散歩中、まだ日の高いうちから夫が店を見て「今日の夕食はここで食べよう」と言い、店に行って予約をし、窓際の眺めのいい席で、夫はピザ、わたしはハンバーガーを食べました。
　メニューは他にもいろいろあるのですが、秋になって筋肉が落ちて体脂肪が増えてしまったわたしは、その中で最も脂質が低く野菜もあってタンパク質が多そうなハンバーガーを食べました。このフライドポテトが外はかりっとしているのに中は柔らかく、驚くほどおいしかったです。

　夫は予約していた７時１５分に一足先に入店し、わたしも７時半前には店に入ってすぐに注文したのに、料理が来たのは７時５４分と遅くなりました。土曜の晩だったので、テイクアウトでたくさんのピザを注文していた人がいたためでしょう。
　この店は数年前にパッシンニャーノを散歩中、通りがかった地元の人に「町で一番ピザがおいしい店」を尋ね、行ってみたら「本当においしい」と夫が気に入って、以来しばらく通っていました。行かなくなったのは、かつてよく食べていた店内の奥の席が少人数では利用できなくなり、今はガラス窓となっているテラス席が、以前はビニールのカーテンで覆われていたため、冬は寒かったからであるように覚えています。

　赤ワインもおいしかったです。グラスに書かれ、ワイン名でもあるTratturoは、かつて今よりもさらに羊の飼育が盛んだったアブルッツォやモリーゼから冬は南方の暖かいプーリアへと無数の羊たちが率いられて通って作った幅の広い長いながい道を意味します。Cantine Spinelli社のトラットゥーロには赤ワインも白ワインもあるからでしょう、赤とピンクの羊が群れをなすデザインがかわいらしいです。
　ハンバーガーはチェダーチーズやかりかりベーコンも入っていてとてもおいしかったのですが、カロリーも脂質もどうしても高くなり、一番資質の低そうなハンバーガーでもこうなります。もう３週間も前のことで記憶がぼんやりしているのですが、ピザはおいしかったものの裏が焦げていたと夫が残念がっていたように覚えています。土曜だったからか、サービスが遅かった上に、流れている音楽がわたしには気にならなかったのですが、若者向けのロックかディスコ音楽のような曲ばかりで夫には耳についたようです。料金はおそらく、最近食べた中では最もお手頃ではあったのですけれども。

　時間を少し前に戻します。１０月６日土曜日は、岸辺の散歩道を端まで歩いてから、来た道をまた引き返しました。冒頭の写真は、道を引き返してすぐに撮ったものです。
　岸辺ではなく店が並ぶ通りを歩くと、まだブーゲンビリアが咲く庭がありました。

　パッシンニャーノは、マッジョーレ島（Isola Maggiore）行きの公共の船の便が出る船乗り場もあれば、中心街や湖の近くに鉄道駅もあって便利なので、トラジメーノ湖畔の市町村の中では、住民も観光客も多いところです。岸辺の散歩道もよく整備されているのですが、湖畔の広大な駐車場が年中有料で、夫が自然の多いモンテ・デル・ラーゴを好んで、パッシンニャーノにはあまり行きたがらないのが残念です。

　まぶしいほどだった太陽が雲間に隠れ始め、空と湖がきれいな夕色を帯びてきました。

　わたしは夕日をより美しくかつ落ち着いて見られる場所で見たいために、夫は早めに散歩を終えて予約した時間どおりに店に行けるようにと、急ぎ足で歩きます。


　夕日がきれいに見えそうな浜へと下って行ったら、やはり夕日を撮影しにきていた友人たちと久しぶりに出会い、夕日を共に見送ったのは、このすぐあとのことです。

　夕日が地平線の向こうに沈んだあとも、鮮やかなピンクに染まった雲が赤い光を湖に投げかけていました。
　友人たちと別れてから、村はずれに駐車していた夫の車を、もっと店に近い駐車場に移動しました。

　夫は夕食を予約していた店へとレストランが軒を連ねる通りを歩いたのですが、わたしはたそがれ色の空と湖に魅かれて、岸辺を歩くことにしました。
　アッシジの聖フランチェスコの像の向こうに、たそがれと夕色がせめぎ合う美しい空と湖が広がっています。聖フランチェスコが１２１１年２月１６日から３月３０日まで、四旬節をマッジョーレ島で祈りを捧げて過ごしたために、マッジョーレ島がすぐ向こうに見えるこの場所に、聖人の像が建てられたのではないかと思います。

　西の空は明るいのですが、東の空は雲に覆われていて暗く、けれどもこのとき

この桟橋の向こうにほっそりとした白い月が見えて、それがうれしくて、月を見やりながら、岸辺を歩いて店へと向かったのでありました。

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NonsolopizzaVia Aganoor Pompili, 53 - Passignano sul TrasimenoTel. : 075 827168FB : https://www.facebook.com/p/Nonsolopizza-100054447791428/

Articolo scritto da Naoko Ishii

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