イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

山の主ブナの巨木訪ねた懐かしい思い出 花咲く春 緑の葉茂る9月 かつてのわたしたち

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 樹齢が350年とも400年とも言われる、トスカーナ州アッペンニーニ山脈の山の高みに立つ大きな大きなブナの木、Il Faggioneを2月9日日曜日に訪ねたとき、わたしにとっては4度目だった山道を歩き、友人たちとおしゃべりをしながら、かつて歩いたときに咲いていたクロッカスの花や木々の周囲に残っていた雪が思い浮かびました。いったい最後に訪ねたのはいつだったろうと調べてみたら、

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Fagiane, Badia Tedalda (AR), Toscana 26/3/2011

なんと14年も前のことだったと知って、驚きました。雪の中にクロッカスが咲くのを見た記憶は、このとき、2011年3月26日のことだったようです。

 今は細い若木がびっしりと並ぶところも、かつては一面が草に覆われていたので、この日は夫とフランコが、上の写真で右手に見える斜面を登り、そこからの見晴らしを楽しんでいたようです。上の写真の右端近く、雪と木の枝の先が交わるあたりに、ごく小さく二人並んで写っています。

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 この年の春、夫は聖フランチェスコの足跡を訪ねて、ラッツィオ州リエーティ県の村、ポッジョ・ブストーネからアッシジへと友人たちと巡礼路を歩いたのですが、この日はその巡礼に夫と共に参加したフランコ、マヌエーラ、ロージーの3人といっしょに5人でブナの巨木を訪ねました。平日は学校で日本語を教えていたため参加できなかったわたしは、その巡礼の最終日、スペッロからアッシジまでの26kmだけを皆と共に歩きました。当時はまだ夫が今も愛着を持って懐かしむ緑のカングーが健在でした。

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 このときもやはりブナの巨木の下で皆で昼食を食べました。

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 写真を見ると、夫と初めて訪ねた前年4月にもクロッカスは咲いていたのですが、まだ雪が残っていたこの日は、そのときよりもはるかに花が多く、つぼみもあちこちにありました。

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4/9/2010

 一方、わたしにとっては2度目、2010年9月4日に訪ねたときは、ブナの巨木の四方に、そして空へと長く伸びる枝に、緑の葉がいっぱいに茂っていました。

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 冒頭の写真で夫たちが登った道から下方を見やると、大きな大きな緑のブナの木の左手に、ごく小さく夫たち3人が写っています。

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 この日はマヌエーラとサブリーナと夫と4人でブナの木を訪ねました。

 わたしはこのときフランコとサブリーナのだんなさん、ヴァレーリオもいっしょだったように覚えていたのですが、記憶違いで、このときフランコは、リミニの自宅からサンティアーゴへと約2600kmの道のりを歩いての巡礼中でした。

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 おとといの晩、当時の写真を見返していて、皆若かったなあ、あれから14年もの歳月が流れたのだなとしみじみと思いました。

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18/4/2010

 一方、わたしが夫と初めてファッジョーネを訪ねた2010年4月18日には、クロッカスの花は少なかったのですが、プリムラやスミレがあちこちに咲き、ツクシも顔を出していました。

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 日曜に歩きながら、このあたりに水仙の花が咲いていたなあと思い出して夫にも言ったのですが、その花を見たのはこのときのことでした。

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 このときはわたしも夫も、じっくりとブナの巨木を訪ねてしっかりあいさつをしたあと、二人でさらに巨木の上の方へと斜面を登り、記念写真を撮ったあと(夫の顔で肝心のファッジョーネが隠れていることもあって、その写真は割愛いたします)、

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こちらの写真を撮りました。

 上の写真にで記したのが、今回日曜日に夫が駐車した場所で、で記したのが、2011年3月にカングーや友人の車を駐車した道路脇です。高みからだと、この駐車したあたりや手前の緑の草に覆われた場所が平地に見えるのですが、ここから川までは坂道を下り、川から巨木へと再び山を登らなければいけません。今手元にある三つの地図で確認すると、標高は、かつて駐車したの地点が891mで、小川が741mなのですが、巨木の位置の記載がなく、インターネットで調べると唯一このページに、Il Faggione(1043m)と標高が書かれているばかりです。

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 片道約4km、1時間半の道のりを、まずは150m下り、小川を渡ってからさらに300m登った高みに、この森の長老、ブナの巨木があるためでしょう、案内看板もあって、地元の人に大切にされているとは思うのですが、訪ねる人が少ないからか、歩く途中には道しるべがほとんどありませんでした。片道約4kmと書くのは、❸の地点より下に線が青ではなく黒いところがあるのですが、その部分は歩いたのに、うっかりスマートウォッチでのウォーキング記録の再開を忘れていたためです。

 時に人が訪れはしても、自然のただ中でずっと過ごすことができて、その方が木には幸せなのかもしれません。

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9/2/2025

 このマツユキソウが咲いていたのは、夫が車を置いた、上の写真にはで記し、グーグルマップの地図では出発地点の緑のマークがあるところです。

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 訪ねたのがなんと14年ぶりということもあり、いったい次に訪ねられるのはいつのことだろうか、皆が元気でいっしょに行けるだろうかとも思い、わたしたち4人だけの記念写真も、若い二人に撮影してもらいました。

 かつてウィンドウズのパソコンに保存していた写真を、グーグルフォトにアップロードしているおかげで、古い写真は日付さえ分かればさっと見つかるのがありがたいのですが、その日付が分かるのも、かつての登山のときに、いったい誰とどんな風景の中をどんなふうに歩き、どんな気持ちだったか分かるのも、訪ねるたびに、そして訪ね損ねた2017年7月にも、エキサイトブログに記事を書いていたおかげです。

 ブナの巨木をわたしが初めて訪ねた2010年4月は、わたしがエキサイトブログにブログを書き始めた月でもありました。

「クロッカスやプリムラ、スミレの花咲く広い草原に、孤高を守り、何百年も昔から立ちそびえるFaggione。たくましい根は、美しい緑色の苔に覆われ、隆々たる枝は、四方に長く、そして空に向かって高く伸びています。どっしりとした揺るがぬ幹を、この森林の間に潜む草原の上に据えて、もう何世紀もの間、山や獣たち、山歩きをする人々を見守り、はるか彼方の下方に見える人間たちの築き上げた町を遠くに眺めてきた、威厳あふれる山の主。」

 今回もまた、あの頃と同じ感慨をもってブナの巨木を訪ね、両手で木に触れ体重を持たせかけて、戦争が一刻も早く終わって平和が訪れますように、皆が希望を持って暮らすことができますようにと祈りました。

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Foto ricordo del Faggione del 2010 e 2011.

In primavera tra i fiori di crochi, primule, violette
a settembre il Faggione con chioma verde
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ブログテーマ:エキサイトブログ20周年に一言
Commented by cenepaseri at 2025-02-12 10:32
素晴らしい木ですね、もっと知りたいと思って
トスカーナの大きなブナの木とググったら、
naokoさんのイタリア写真草子が出て来ました。
お花も綺麗で、素晴らしい所ですね。
Commented by katananke05 at 2025-02-12 22:18
たくましく 威厳を持って山の上から人々の小さな村の けれど 幸せに暮らしているであろう人々を長い時間 見守っているのですね〜
木にはなにか そのようなスピリットを 感じます〜
素敵な写真です〜
Commented by ririrouzu at 2025-02-15 07:55
ブナの木に、山の主と名付けるのはいいですね~
Commented by milletti_naoko at 2025-02-17 17:22
ぱせりさん、ありがとうございます。
友人のおかげで再訪できて、うれしかったです。
本当ですね! トスカーナについて書く人は多くても、
登山や大木について書く人はあまりいないということ
かもしれませんね。
Commented by milletti_naoko at 2025-02-17 17:34
katananke05さん、ありがとうございます。
おっしゃるとおりだとわたしも感じています。
どうかこれからもこの大きくたくましい木が
長い間元気でいてくれますように。
Commented by milletti_naoko at 2025-02-17 17:38
ririrouzuさん、ありがとうございます。
今山にいる命あるものたちの中で、
この木がきっと1番の長老ではないかと思うのです。
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by milletti_naoko | 2025-02-11 21:02 | Toscana | Comments(6)