イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

EUで今年からアマルガム使用禁止のため歯科治療費値上がり 歯の神経抜くために抗生物質など薬服用

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 約1か月前から歯が欠けているらしいことに気づいたものの、痛みも時間もなかったために放置していた歯の診療を、2月7日金曜日に受けて、「虫歯ができていて治療が必要ですが、その虫歯がかなり奥にあるため、神経を抜かなければいけないかもしれません」と聞きました。そこで、2月14日金曜日は、その治療を受けるべく、ははらはらしながら歯医者に向かいました。



 わたしが2010年以来長く通っていた歯科医院には、父と娘の歯医者さん二人がいて、どちらかに診療を受けていたのですが、去年12月半ばに、「以前の歯科医院ではもう働いておらず、違う場所で診療をしていますのでご連絡します」というメッセージを、娘さんである方の歯医者さんから受け取りました。

 そのときわたしは、ひょっとしたらお父さんが亡くなったのだろうかと心配しつつも、もうクリスマス休暇も近く歯医者さんも休みになるだろうし、わたしも何かと慌ただしいからと、結局連絡をしないままでいました。

 2月に入って、学校の午後の授業を同僚の先生が担当してくださることになり時間ができたので、「歯の治療が必要と思うので診療を受けたいのですが」と、娘さん歯医者にメッセージを送ると、父さん歯医者は健在で今も診療を続けているのだけれども、やはり親子で仕事をいっしょに続けるのは難しいという理由で、去年から新たな場所で歯の診療を始めたとのことです。



 虫歯の一本あたりの治療が130ユーロと、父さん歯医者の医院と比べてかなり高いのですが、娘さん歯医者によると、今年の1月からヨーロッパ連合では歯科医治療でアマルガム、合金の詰めものやかぶせものを使うことが禁止され、以前の歯科医で治療費が安かったのは、わたしと夫はできる限り金属を使わない詰めものやかぶせものを使うようにお願いしていて、その方が合金に比べて料金が高いのだけれども、大半の患者は、そして、わたしたちも治療する歯の位置や状況から見て合金の詰めものの方が安心ですよと言われた場合にはアマルガムを使っての治療だったために、料金を抑えることができていたのだそうです。「父の歯科医院でも今はきっと値上がりしています。そうして、この治療費がペルージャでの相場です」と聞いて、わたしは今娘さん歯医者が勤めるという新しい歯科医院で診療を受けることに決めました。ですから、わたしは現在、娘さんは医者に診療を受け、治療を続けています。

 娘さんの方が女性であることもあって安心ですし、若いのでこの先ずっと同じ人に歯を診てもらえるという安心感もあります。娘さんの方が診療と治療がていねいだと、しばらく前から別の歯科医にかかっている夫も常々言っていました。以前の歯医者のこの数年の新しい女性助手が、いったいわたしが何をしたというのかと思うほど、どこか態度に冷たいものをいつも感じてもいました。唯一の問題は、麻酔の注射をするときに、父さん歯医者は1本打ったあと、かなり時間が経ってから次の麻酔注射を打つので、後から打つときには痛みを感じないのに、この女医さんはあまり待たずに次々に麻酔の注射を打つのでどれもひどく痛いということがあったのですが、それを言うと、父さん歯医者ほどではないにしても、以前よりかなり待ってくれたので、2本目の注射では痛みを感じず、3本目はちくりとしばらく痛んだのですが、少しは麻酔が効いていたので助かりました。



 3年前にかつての歯科医院で歯の神経を抜かなければいけなかったときは、その歯が3本あったためもあって、なんと3か月ほどの間何度も歯医者に通うことになり、しかも毎回痛い思いを長い間したので辛かったのですが、幸い今度の歯で抜かなければいけない神経は1本だけで、しかも今の歯科医院には新しい機器があるので、父さん歯医者が手探りで治療していたよりも、ずっと早く治療が終わるとのことです。

 というわけで、詰めものの下に広がっていた虫歯を削った結果、神経が見えていたので抜く必要が出てきたと聞いたときは、単にそのためにさらに150ユーロ料金が高くなるというだけではなく、神経を抜かれた歯の行く末や治療の長さと辛さを思って悲しかったのですが、治療はあと2、3回で終わるとのことです。

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 例年は節分を学校の日本語の授業でも、慣習について文も読んで、簡単に説明しています。ところが、今年は試験を数日後に控えていて時間がなかったこともあり、節分についてざっと紹介だけして、「試験についての不安も、悪い病気も、困ったことは全部飛んでいって、自信や幸せ、いいことがやって来るように、鬼は外福は内と、大きい声で何度も言いましょう」と、授業の初めに大きい声で、生徒と何度も言ってみました。

 今年は節分が日曜日で友人たちと湖畔で長い間食事を楽しんだ上、前の週は仕事で忙しかったため、豆まきはしませんでした。だからというわけでもないのでしょうが、「鬼は外」と言ってはみても、虫歯は口の中にしっかり残っていたのでありました。歯が欠けたのに気づいてすぐ1か月前に診療を受けに来ていても、神経は抜く必要があったでしょうという歯医者さんの言葉が、せめてもの慰めになりました。

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 バレンタインだった先週金曜日には、神経を抜くための治療が始まったこともあり、また、わたしが「この数日どういうわけか時々胃液が戻るように感じるときがあります」と言っていたこともあって、三つの薬の処方を受けました。

 イタリアの国民健康保健サービスのおかげで、薬局で無料、あるいは割引になる薬も多いのですが、こんなふうに歯医者など専門医が処方してくれた薬でも、かかりつけ医に見せてimpegnativaと呼ばれる文書を発行してもらわないと、薬局でその恩恵を受けることができません。この日は歯医者での治療が終わったのが午後6時頃で、運がいいことに、かかりつけ医の金曜日の診療時間が午後6時半までだったおかげで、無事に文書を発行してもらい、割引を受けて三つの薬を15ユーロで購入することができました。

 うちにあるイブプロフェインやタキピリーナよりももっと強い痛み止めが必要だと聞き、歯医者さんが例として挙げてくれた中から、かつて服用したことのあるOkiを選んで、処方箋に書いてもらいました。Augumentinは抗生物質で、わたしは5日間朝晩12時間おきに飲むように言われました。Lucenは朝食前に、記憶違いでなければ確か食事の20分前に7日間服用するように言われている胃を守る薬です。

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 歯の治療が終わったとき、「うちに帰ったらすぐに鎮痛剤を飲んでください。家に着くまでの間効くよう、少しだけ麻酔注射を打っておきますね」と聞いていたので、歯が痛み始める前にと、帰宅してすぐ、午後7時頃に痛み止めを飲んだものの、以後は歯がまったく痛まないので、Okiは服用していません。

 抗生物質は1日に2回、服用する時間がきっかり決まっているので、その時間に飲めるよう、その数分前にスマートウォッチのアラームを設定しているのですが、これがとても便利です。

 問題は胃を守るというLucenで、ふだん薬を飲む習慣がないこともあってつい忘れてしまい、朝食後、あるいは抗生物質を飲む前後になって、飲むのを忘れたことに気づくことも多いのですが、娘さん歯医者の処方箋には朝起きて朝食前にとあったものの、薬の説明書には、食事中に飲んでもいいし、食事から離れた時間に飲んでもいいと書かれているので、思い出したときに服用しています。

 昨日ふと思いついて、抗生物質の服用中にコーヒーを飲んでもいいかどうかをインターネットで調べてみたら、コーヒーやチョコレートの摂取、日光を浴びるのを避けた方がいい抗生物質もあるものの、Augmentinの場合は、コーヒーもチョコレートも、そして日を浴びるのも特に問題ないとのことです。ただ、アルコールだけはどうやら避けた方がいいようなので、ふだんは小さじ一杯のアマーロ・ズヴェデーゼを入れて飲むイラクサのハーブティーの代わりに、今日はローズヒップティーを飲みました。

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 抗生物質は腸内環境のバランスを乱しがちと知り、にも関わらず最近は外食が続いたり、日曜の大家族での昼食にと買ったパテの残りを食べたりと、胃腸に負担がかかる食事が続いていたので、一人で食べた今日の昼ごはんには、野菜と豆腐と卵、玄米入りのみそ風味の雑炊を作りました。

 仕上げに新オリーブオイルを回しかけて、イタリアでは高価な酒・みりんの代わりに、スプマンテの残りを使ったところだけイタリア風です。ただ、料理中に思いついてふと調べたら、アルコールは火にかけて煮立てても実は成分が残るのだそうで、大さじ1杯分ではありますが、アルコールを摂取してしまったなと反省しています。

 今行っている歯医者は、ペルージャの歴史的中心街に近いので、わたしは無料駐車場を見つけてそこからかなり歩くので少し苦労するのですが、中心街に住む学生さんなどには便利だと思います。

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 今日の記事には、歯や薬に言及した日本語の授業の板書の写真の中から、その一部を抜き取って添えています。

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 イタリア語を学習中の方、イタリアにお住まいで歯医者に行かなければいけないけれどという方のために、ずいぶん前にかいたこちらの絵も添えておきますね。


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Commented by getteng at 2025-02-19 00:42
naokoさん
このブログを読んで、老生も重い腰を上げて歯科に行かねばなりません(´;ω;`)ウゥゥ
Commented by nonkonogoro at 2025-02-19 07:48
naokoさんのイラスト
どれも可愛くて わかりやすくて いいですね~(#^^#)

麻酔の注射も痛くないわたし~(笑)
鈍感すぎて かえって コワイ!

Commented by ciao66 at 2025-02-19 16:04
節分の時期に歯が治って、「鬼は外」になりましたね!
どっちの歯医者さんに行くのかと思ったら、娘さんのほうで、
迷った選択も正解でよかったですね。
鎮痛剤が要らなくなったら、お祝いのお酒が飲めそうでしょうか・・・
どうぞお大事に!
Commented at 2025-02-19 17:33
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by milletti_naoko at 2025-02-19 17:52
gettengさん、歯医者は気が重いですが、やはり
早めに行った方が治療も軽くて済むので、できるだけ
早く行かれることをおすすめします。辛いですよね。
Commented by milletti_naoko at 2025-02-19 17:56
のんさん、ありがとうございます♪
もともとちょっとした絵をかくのは好きでしたし、
高校生になんとか古典を楽しんで学んでもらいたいと、
あれこれ絵を添えて工夫して修業をしました。

痛くないのはうらやましいですが、確かにある意味
痛みに気づけないというのはこわくもありますね。
Commented by milletti_naoko at 2025-02-19 18:37
ciao66さん、確かに。歯医者さんに最初に連絡したのが
ちょうどこの日、授業中に「鬼は外福はうち」と言ったあと
のことなので、おっしゃるように鬼を外に放り出し始めることが
できているとも言えますね。実は他にも、神経を抜く必要がありそう
だけれども痛みのない歯があって、それは歯医者さんは気づかずにいた
ので、言うべきだろうなと思っているのですけれども。

以前の医院では二人でどんどん予約を埋めていっていたからか、
予約時間に行っても30分ほど待つことが多かったのですが、
新しい医院では今のところ、時間前に到着しても、そのまますぐに
診てもらえているので、それも助かります。

後でまた調べてみますが、抗生物質は飲まなくなってからしばらくは
体内に残るので(24〜48時間だったかな)、副作用を避けるため
にはアルコールはその間も飲まない方がいいというイタリア語のページも
いくつか見かけたので(英語のページにはAugmentin服用中もアルコール
を飲んでも問題ないとするものもあるのですが)、もともとそれほどワイン
やアルコールを飲む習慣もないので、しばらくは避けることにします。

花粉症対策とダイエットのためにも、避けた方がいいですし。
生徒さんが贈ってくれた地元の赤ワインを早く飲んで感想を連絡しなければ
と思いつつも。ありがとうございます!
Commented by milletti_naoko at 2025-02-19 18:43
鍵コメントの方、安心して診療・治療をしてもらえる
歯医者さんがいて、ありがたいことだと思います。
夫は父さん歯医者と議論になって、結局数年前に歯医者を
変えて、ペルージャではなくマジョーネ、トラジメーノ湖がある
やや遠方の歯医者に通っているのですけれども、娘さん歯医者に
ついては、治療がていねいだと言っていました。お父さんからまだ
学ぶことがあるのではとも言っていましたが、もう15年もいっしょに
働いたあとなので、ご自身が言われるとおり、一人でも十分診療・治療が
できることと思います。

いろいろと詳しくありがとうございます。わたしもこれから時間のあるときに
調べてみますね。アマルガムは、イタリアでも幼い子供や妊婦さん、授乳中の
女性に対しては使用が禁止されていたようなのですが、今年の初めから
ようやくすべての患者に対して、利用禁止となったようです。
Commented by katananke05 at 2025-02-20 10:29
最後のイラストは 可愛くて しっかり意味も伝えて
なお子さん とてもお上手ですね〜

歯医者、、わたししも 歯石取りに行かなくてはと思ってるのですが、、
かかってるところは もう40年で 先生も年を取り、、
ほとんど歯石取りだけなので
衛生士のかたも 辞められたら困るというほどの 痛くなくてやってくれる方ですので、、
ただ 歯科医の場合はとくに 機械など 若い新しい歯科医なら
最新の機械を導入されてるかと思うから 一概に馴染みのほうが良いとは言えないですね〜

ああ、、私も早く行かなくては、、です〜

薬でなくて 治療の方は料金が実際 どのくらいかかったのですか?
Commented by gerneremake at 2025-02-21 17:24
歯はねぇ〜
定期検診で半年1回でも〜掃除だけで終わってる事も多くあります〜
数人の歯科医さん曰く〜
技術が必要で〜加齢に負けて手先や視力?の低下が避けられず〜ご自身で引退された方達を存じています。
治療内容によれば〜年の功?経験も大切で続けられる方もいるそうですが〜
歯科医院だけは新しい医院だと機械が新しいですよね。
治療椅子も、うがい水も心地良かったです。
治療中の歯の映像が大きな画面で確認できました。 メガネ無しで〜‼️
私達家族や姉達も通っていた父娘の歯科医で父親先生が辞められ〜
娘医師だけに〜
うちの娘が近くの新しい歯科医に〜
(本人が治療に疑問を持ったのが原因ですが)
そして私の口臭が気になり予約とられ〜
私も行く事になりました。
今は治療中ですが〜
痛みがないのに気になる箇所のかぶせ交換で外すと歯茎が痛んでいて切り取る事に‼️

年寄り向きの歯科医か不安ですが(笑)
夫も次回予約を入れて家族で変わりました(笑)
入れ歯の姉一人が未だ残っています。(笑)
姉にも変えた事を話したのですが〜
入れ歯の微調整の通院だからと〜
若い医師だから⁈
この歳になると痛い目に(手術等)慣れていて〜
とにかく力を抜いてゆっくり息を吐くように心がけています。
友人曰く80超えると痛みも違うそうです。
そこまで長生きしなくちゃ(笑)です。
Commented by milletti_naoko at 2025-02-21 20:25
katananke05さん、ありがとうございます。
実はこのブログ、確か始めた頃の題名は
「ペルージャ発 なおこの絵日記」で、そのために
たまには写真ばかりではなく絵も添えていたように思います。

ベテランのずっと見てきてくださった先生に診てもらえるのは
ありがたいことですが、なるほどいろいろそれなりの問題も
あるのですよね。新しい歯科医院と言っても、わたしにとって新しい
だけで以前から他の歯医者さんが診療・治療をしていたのですけれども、
以前の医院よりも新しい機器がすでにそろっていたようで、
そういう意味でもありがたいです。

料金はイタリアでは一連の治療が終わって払うことが多いのですが、
今まで聞いた話を総合すると、虫歯の治療が130ユーロ、神経を
抜くのに80ユーロで、合計210ユーロとなるのだと思います。
保険が効かないのが厳しい上に、歯石を取る必要があってその費用が
80ユーロで、さらに実はやはり神経を抜かなければならない、痛く
ないけれども虫歯ではないかという疑いをずっと持っている歯があるので、
合計かなりな金額になりそうで、とほほです。
Commented by milletti_naoko at 2025-02-21 20:30
gerneremakeさん、定期検診と掃除だけで
終われるように、わたしもきちんと歯を大切にして
磨かなければいけないのですが、慌ただしいとついおろそかに
なる上に、歯並びがひどく悪いので虫歯ができやすいのです。
まあ、やはり父娘で治療をされているお父さんの歯医者さんの方が
退職されたのですね! 治療に疑問があるのでは、変えるのも
仕方がないですよね。なんと歯茎の痛みで切り取ることになるとは!
どうかくれぐれもお大事に。歯医者に通うのは辛いですよね。
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by milletti_naoko | 2025-02-18 23:30 | Salute | Comments(12)