イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

フェデリーコ2世アッシジで洗礼 カステル・デル・モンテの城 発見も楽しい歴史小説

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 3月25日に丘のてっぺんに建つ大城塞を目指して、アッシジの中心街を高みへと登った日は、

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Assisi (PG), Umbria 25/3/2025

登るときも、そして下るときも、長い石壁と階段の向こうに聖ルフィーノ教会(Cattedrale di San Rufino)が見えて、

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城塞付近からは、やはり聖ルフィーノ大聖堂が、聖キアーラ大聖堂と並んで見えて、うれしかったです。

 それまであまり意識していなかった、アッシジの司教座大聖堂(cattedrale)である聖ルフィーノ教会をこのときに気にかけたのは、読みさしている塩野七生著の『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』上巻を読んだとき、

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アッシジで生まれ育った聖フランチェスコや聖キアーラが洗礼を受けたこの教会で、なんと神聖ローマ皇帝でありシチリア王国の王でもあったフェデリーコ2世も洗礼を受けたと知ったからです。

 「それでも、皇帝でありシチリア王でもある人の一人息子である。アッシジの主教会で行われた洗礼式には、アッシジだけでなく近くのスポレートからもペルージアからも司教や司祭たちが馳せ参じ、教会の中は金銀のぬいとりも華やかな祭礼用の聖衣姿で埋まっていた。」

と、『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』上巻に書かれたその教会が、この聖ルフィーノ大聖堂なのです。

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 長い階段を降りて、町の中心へと下っていくと、奥につい先ほど訪ねた大城塞(Rocca Maggiore)が見えて、その手前に大きく聖ルフィーノ大聖堂の鐘楼がそびえ、

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大聖堂の後方からその壁に沿って下っていきます。

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アーチをくぐると聖ルフィーノ大聖堂が現れて、見覚えのある広場に出て、さっきの道はここへ続いていたのかと驚きました。この大聖堂は内部を訪ねた記憶もあるのですが、遠い昔のことで、その頃にはまだフィルムカメラを使っていたために、写真は撮っていないかもしれません。

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26/12/2022

 2022年のクリスマスの翌日にアッシジを訪ねたときは、この同じ広場に聖母マリアと大天使ガブリエルの像が立ち、大聖堂にも受胎告知の場面が映し出されていました。

 では、なぜフェデリーコ2世の洗礼式がアッシジで行われたか、その理由も、やはり塩野七生さんの本を読んで初めて知って驚きました。


 『Carlo Magno』(カール大帝)を読んで、一時はイタリア半島の大半を治めたランゴバルド人の領土の中で、スポレート公国が戦略的に重要であったことを知ったときにも驚いたのですが、

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Spoleto (PG), Umbria 5/5/2023

生まれたばかりのフェデリーコ2世は、母コスタンツォがスポレート公国の領主であったウルスリンゲン公爵の夫人に託したために、「ウンブリア地方で、三歳までを過ごすことになっ」たというではありませんか。

 フェデリーコ2世は、文学やイタリア語の誕生にも大いに貢献しているため、ペルージャ外国人大学の中世史の授業ではもちろんのこと、イタリア文学やイタリア語の歴史の授業でも登場し、かなり詳しく教わりました。そのため、フェデリーコ2世に関する番組があれば、それが歴史番組でも旅行番組でも、見るようにしていました。

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Castel del Monte, Andria (BT), Puglia 18/9/2020

 ですから、2020年秋のプーリア旅行で、フェデリーコ2世が築いた城、カステル・デル・モンテを訪ねたときには、感慨深いものがありました。どの先生方もフェデリーコ2世を高く評価して、目を輝かせて、カステル・デル・モンテのすばらしさを語っていたからです。



 旅行中や旅行から帰ってすぐは時間がないために、当時書いた記事にはガイド付き訪問や内部についてはいっさい書けていないのですけれども。

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 カステル・デル・モンテは『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』でも詳しく紹介されています。

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塩野七生さんのこの城についての説明には独自の見解もあり、興味深く読みました。

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 歴史上の一人の人物に焦点を当てた小説を読むと、それまでは一見関連がないように思えていた場所や人物に、

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実は深い関係があることが分かり、また、歴史や文学を通して断片的に知っていたいろいろな事実が、主人公の人生という軸を通して見えてくるのでおもしろいです。

 今読んでいる本を読み終えたら、下巻の残る百数十ページも読み終えようと、改めて心に決めました。


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Commented by getteng at 2025-04-18 18:14
naokoさん
老生の先輩は定年後、塩野七生さんの全集(?)を読んだそうです。
ぜひ読めと勧められましたが、そのままになっていることを思い出しました(´;ω;`)ウゥゥ
Commented by ciao66 at 2025-04-21 09:11
歴史小説を読むと、主人公を通していろんな角度から物事の繋がりが見えるのが面白いですね♪
実際にその場を訪ねればなおさらです。
『皇帝フリードリッヒ二世の生涯』は読もうと思って、まだ読んでおりません。ちょっと長編なので・・・
Commented by katananke05@ at 2025-04-22 21:53
塩野七生さんの「ローマ人の物語」だっけ?が 出た時に読もうと思って読みそびれたら
もう 長編を読む根気ないわ、、と 忘れてましたよ〜
「坂のうえの雲」 8巻くらいあったかしら、、あれで最後でござんしたわ〜
根気なくなりました〜
Commented by milletti_naoko at 2025-04-28 17:39
gettengさん、なんと全集を読まれたとは、本の数が多く長い小説も
多いので、すばらしいですね!

機会があればぜひ、手に取りやすい短編をまとめたものなどから始められてみてはいかがでしょう。
Commented by milletti_naoko at 2025-04-28 17:46
ciao66さん、イタリアはやはり国じゅうが長い歴史のさまざまなできごとの
舞台となっているのだと、改めて感じています。
イエージなどは、皇帝が生まれた町であることを観光の売りにしているのですが、
アッシジもスポレートも、他にも魅力や名所があるので、特にそこに特化してとりわけ
宣伝はしていないので、知らずにきたのだと思います。

ciao66さんもイタリア各地を旅されているので、いつか読まれたら、いろいろな訪ねた
場所を思い返しながらの読書になることでしょう。
Commented by milletti_naoko at 2025-04-28 17:50
katananke05さんはかなりたくさんの本を読まれているので、それでも
長編にはなかなか手が出ないのだと知って驚きました!
この本は長いといっても上下2巻なんですよ。
まずわたし自身が読み終えてしまわないといけませんよね。
by milletti_naoko | 2025-04-17 21:00 | Umbria | Comments(6)