イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

中世の町グッビオでゴッホの絵の中へ 映像没入体験型の展覧会

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 昼食とコーヒーのあとは、いよいよ楽しみにしていたゴッホの没入体験型の会場だったグッビオ市立博物館、コンソリ宮殿に向かいます。

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 ところが入り口の切符売り場で、ゴッホ展の会場は建物裏、下方だと聞いたので、

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案内に従って、

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坂道を下りました。

 市立博物館を擁するコンソリ宮殿は、グッビオの町の他の多くの建物同様に山の急傾斜に建っています。そうして、とても高いので、複数の標高の異なる道や広場に接していて、道や広場と接する面に出入り口があります。

 ゴッホ展の入り口は、この写真で正面に写る日陰となっている道に面していて、冒頭の写真の宮殿の入り口から入った広間を1階と考えると、地下2階にあたる部分が会場となっていました。と言うのは、左手の坂道を上った先にも、地下1階にあたる階の入り口があるからです。

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 入り口から入って右手の壁に、ゴッホの生涯を簡単に紹介するパネルがありました。わたしたちは、ゴッホ関連のドキュメンタリー番組や映画などを何度も見ていて、つい最近もテレビでドキュメンタリー映画を見たばかりで、急いでいたため、この説明は見ませんでした。

 入場料はコンソリ宮殿内にある市立博物館の入館料込みで9ユーロです。係の人によると、ゴッホの絵の映像が35分にわたって会場を取り囲む宮殿の高い壁一面に映し出され、列に並んで進んでいって、最後に隣の小部屋に入って、VRゴーグルをつけてのゴッホの絵の中に入り込む臨場体験ができるとのことです。ただし、大勢の入場者に対してVRゴーグルの数が少ないために、かなり待つ必要があると言うので、夫が難色を示しました。

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 会場では、宮殿の広間の高い壁と天井一面にゴッホの絵画が映し出されていて、

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特に自分たちが知っている絵や好きな絵が映し出されたときは、うれしかったです。

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少しずつ映像が映っていったり、焦点が合っていってどの絵だか分かるのも興味深かったですし、

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星の光や桜の花びら、ひまわりの花などが空から降ってくるような映像がきれいでした。

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 日本の東京や世界の他の都市で行われたような、複数の部屋で異なる絵が映し出され、絵に関連した室内装飾が施された展示を期待していたわたしは、ただ一つの同じ会場で絶えず映像が移り変わっていくだけだったので、少し拍子抜けしました。

 けれども、調べてみたら、この展覧会が始まる前、そもそも市立博物館の入館料だけでも7ユーロとなっていたので、その差額がわずか2ユーロであることを考えると、この展示は多くの市民や観光客にできるだけ博物館、コンソリ宮殿、グッビオを訪ねてもらおうという試み、サービスなのでしょう。この博物館は過去にすでに何度か訪ねていたわたしたちでしたが、そう思えば納得できましたし、列に並んで順番を待つ間、立つ位置が違うと同じ映像でも違って見えるのも興味深かったです。

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 展覧会の最終日でもあり、連休中のイタリアの国民の祝日でもあったので、1時間ほど列に並んで待つこととなりましたが、その間、長方形の広場の四方の壁に沿って移動しながら、違う角度から異なる壁に映し出される映像を楽しむことができました。

 そうやって、没入体験型展覧会を楽しんでから、せっかくなので久しぶりにコンソリ宮殿、市立博物館もさっと訪ねようと、坂道を登って、冒頭の写真の階段を上り、地上階の入り口から入場しました。

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 四方の壁にグッビオ周辺で出土したと思われる古代の遺跡が並ぶ広間に、

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こちらのゴッホの絵を模して作られた部屋が設置されていて、

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自由に中に入れるようになっていたので、

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せっかくだからと、夫と二人、中に入って撮影を楽しみました。

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 傍らには、子供たちがゴッホの絵に思い思いに塗り絵をして楽しめるように、絵が描けるように、小さいテーブルや椅子、紙やペンやクレヨンなども用意されていました。

 ずっと行きたいと考えていた展覧会に期間中に行くことができて、うれしかったです。

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ブログテーマ:GWの過ごし方
Commented by getteng at 2025-05-03 20:14
naokoさん
かわったexhibitionですね。
面白い!
Commented by nonkonogoro at 2025-05-04 13:15
体験型ゴッホ
楽しそうですね。

ゴッホはイタリア語では
なんと発音するのですか?

英語では 「ヴァン ゴー」とか言われて
はじめは 聞き取れませんでした。

日本では モネの絵画で
こういうスタイルのを 記事で見たことがあります。

Commented by pothos9070 at 2025-05-04 20:02
ゴッホの没入型の展覧会🎵
神戸でも以前やってまして、観に行きましたw
こちらでは狭い展示室の中に、ぎゅ~っと押し込められた感じだったのですが
イタリアのゴッホは建物の中からして、とてもよく似合っていると思います🎵
素敵な展覧会、何よりでしたね(^-^)
Commented by milletti_naoko at 2025-05-04 23:49
gettengさん、屋外に映像を投げかけるプロジェクションマッピングを、
代わりに屋内で試みたような風情の展覧会でしたが、好きな絵が大きく
映し出されるとうれしくて、なかなかよかったです。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-04 23:56
のんさん、イタリア語ではヴァン・ゴーグと発音されています。
英国王もエリザベッタ、カルロとイタリア語名で呼んでいるんですよ。
世界各地でこういう展覧会が増えてきているようですね。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-05 00:11
ぽとすさんの過去記事で、神戸のゴッホ・アライブの展覧会の様子を
再び拝見しました。神戸の会場の方がおそらく白いスクリーンを使っていて
しかもスクリーンが複数あるために映像自体はよりきれいにみんなに見えるのですが、
おっしゃるように人が多い上に、目の前の人のスマホやカメラや頭が写ってしまう
状況だったのですね!

この展示会は、そういう意味では天井がとても高いので、人が写らないように撮りやす
かったです。それに、真ん中のスペースには大きなシートが敷かれていてクッションも
置かれていて、寝転がって見上げて見ることもできるようになっていたので、そのために
中央には人がいても横たわっているので写真の妨げにはなりませんでした。
神戸の値段を考えても、9ユーロは現在1473円相当であるようですが、7ユーロの
常設展や城を訪ねる料金を含むと考えると財布にも優しいですよね。
Commented by ciao66 at 2025-05-05 17:47
ゴッホの絵の中に入り込む!これは面白いですね。
VRゴーグルをつけてゴッホの世界に入り込むような感覚は、
絵で見るのとはまた違った感覚なのでしょうね。
アルルの黄色い家の部屋の中に入れるのもワクワクしそうです♪
Van Gogh Aliveは国内4か所で開かれていたようですが、見に行く機会は無かったのです。
機会が有ればみてみたい気もしますが・・・・
Commented by milletti_naoko at 2025-05-05 18:34
ciao66さん、実は、VRゴーグルの方は4分と短い上に、
わたしの場合、眼鏡の上から頭を締めつけるように固定して
くれたために眼鏡と目の間が近くなってレンズが曇って見にくくなり、
眼鏡が傷むのではないかと気になって集中できなかったこともあり、
あまり楽しめずに終わりました。

でも、待っている間に広間じゅうに大きく映し出されたゴッホの映像は、
日本や他のイタリアの会場とは違って、一つのスクリーンに一つの絵が
映し出されるのではなく、複数の絵が場所全体に映し出されて移り変わる
という感じで、興味深くきれいでした。

絵の部屋の中に入れるというのもいいアイデアですよね。楽しかったです。
いつかまたどこかで訪ねられる機会がありますように。
Commented by katananke05@ at 2025-05-06 15:34
今はプロジェクションマッピングが あちこちで行われ こういう催しも増えていますね〜
そちらの入場料はとてもお安いと思いますよ〜
3年前に夫が 心臓のペースメーカーを入れたので
こういう催しの時には いくらか安くなったり 半額や 時にはフリーになるので
大いに出かけたい、、と思っていますよ〜
Commented by milletti_naoko at 2025-05-06 18:21
katananke05さん、9ユーロと思うと高いのですが、わたしたちは
すでに何度か訪ねたことがあるものの、宮殿や市内博物館の常設の展示の
観覧料7ユーロも込みだと考えると、とても安いですよね。
わたしたちも結局、せっかく料金を払ったのだからと博物館をざっと訪ねて、
以前訪ねたときには確か夕方で暗かったので、そのときとは違った風景や
内部の様子を楽しむことができて、忘れていたものもあって楽しめました。
by milletti_naoko | 2025-05-03 18:45 | Umbria | Comments(10)