イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ゴッホと日本 宮殿の造り生かした視覚効果 グッビオの没入型展覧会

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 5月1日までグッビオで催されていたゴッホの映像没入体験型展覧会の会場は、市立博物館を擁するコンソリ宮殿で、

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展覧会の入り口は、60m以上の高さを誇る宮殿の一番下の階にあったため、広場に面する正面玄関から、長い坂道を下っていく必要がありました。

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 会場に足を一歩踏み入れると、壁が上部でアーチを作って一つになる天井はとても高く、ゴッホの絵の映像の投影は、この建物の特徴をうまく利用していました。例えば、こんなふうに小さないくつものひまわりの花の絵が上から下方へと、いくつも流れていって、

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気づくと、有名なひまわりの絵の数々が、壁や天井一面に大きく映し出されていたり、

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 天から花びらが降るように、上から花びらの映像が流れ続けて、やがて

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一面に、花咲くアーモンドが大きく映し出されたりしました。


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 天井にアーチがあって、その下には映像がこんなふうに分断されて映るのですが、独特の視覚的効果とその美しさを楽しむことができました。

 イタリアの教会や修道院を訪ねるときも、わたしはこういうアーチの下に描かれた絵や、アーチを通して見える向こうの風景が好きなのです。

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 こんなふうに金色の枝と花の絵が天井から下方へと少しずつ下ってきたとき、日本を思わせる映像だなと思っていたら、

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続いて大きい真っ赤な太陽が、

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そして浮世絵が現れて、やはりゴッホが日本美術から受けた影響や日本に思いを馳せて描いた絵を表しているのだと分かりました。

 当時の西洋の画家たちが日本の浮世絵から大きな影響を受け、インスピレーションを得たことは知っていましたが、グッビオの展覧会でそれがこんな形で表現されているとは予想していなかったので、思いがけない場所で日本に出会えたようで、うれしかったです。

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 ゴッホが愛した田園風景も、大きく一面に映し出されると、明るい日差しや金色の麦の実りに向けていたゴッホの視線や思いも感じられるようでした。

 すぐ隣にスマートフォンで録画している若者がいたので、その邪魔にならず、かつその姿が写り込まないようにと、

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カメラを上に向けて撮ると、天井近くにはこんなふうに映し出されていたのですが、これもまた独特のおもしろさがあるように思います。

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 しばらく前からイタリアで花盛りであちこちで見かけるアイリスの絵も登場しました。

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 暗くなった広間の天井から、星のような光がいくつも降り注ぎ、

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やがて美しい夜景の絵が現れたときも、感嘆しました。

 つい先日、わたしたちが見ていいなと思ったゴッホを語る番組は、Ulisse: il piacere della scoperta - Van Gogh, i colori dell'eternitàで、イタリア国内では無料で見られるRaiPlayの番組映像へのリンクはこちらです。

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 ゴッホについては、イタリアでも映画やドキュメンタリー番組がよく放映されるため、わたしたちも映画館に足を運んで、あるいは家で見て、ゴッホの人生や作品については知っていたのですが、このアルベルト・アンジェラの番組では、まずはゴッホの死の直前の様子から映像を紹介し、説明を始めて、それから人生を遡って話を進めるという意表をついた語り方をしていたこともあり、興味半分で夫と見始めたのですが、結局夫もわたしも、2時間余りのこの番組を最後まで視聴しました。

 つい最近、この番組を見たおかげもあり、作品やゴッホの人生をより理解して、このゴッホ展を楽しむことができたように思います。

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ブログテーマ:GWの過ごし方
Commented by getteng at 2025-05-06 08:16
naokoさん
浮世絵って世界中にいい意味で影響を与えているようですね。
連休最終日の今日はあいにくの雨です。
Commented by pothos9070 at 2025-05-06 14:25
ここは宮殿の中なのですね♪
ゴッホのプロジェクションがこうした石の壁や天井や柱に
投影されるというのは、とってもよく似合っていると思います。
石の表の自然な表情とゴッホの絵画の取り合わせが独特の世界を見せているんですね。
こちらの市立博物館でも、今年の9月にゴッホ展があるようです。
プロジェクションじゃないのですが、今から楽しみにしています(^-^)
Commented by milletti_naoko at 2025-05-06 15:50
gettengさん、ジヴェルニーのモネの家の壁にも
たくさんの浮世絵がかかっていました。
せっかくの連休に、雨は残念ですね。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-06 15:56
ぽとすさん、イタリアとフランスで宮殿や大聖堂の外壁に映し出される
プロジェクションマッピングを見たこともあるのですが、おっしゃるように
屋外でも屋内でも、背景となる建物そのものが映像にさらに味を加えているように
思います。

市立博物館で、本当のゴッホの絵の展覧会があって、鑑賞する
機会が得られるとはすばらしいですね。
Commented by ciao66 at 2025-05-06 16:08
見覚えのあるゴッホの絵が次々に登場して、
壁いっぱいに大きく広がるのは面白そうです♪
どんなふうに見えるのかと、想像しながら拝見しました。
絵で見るのとはまた違ったような楽しみが感じられそうですね!
Commented by milletti_naoko at 2025-05-06 17:55
ciao66さん、プロジェクションマッピングの屋内版という風情で、
宮殿の壁やアーチ、天井のデザインや石の壁と絵との取り合わせを
楽しむという感じで、純粋にゴッホの絵を楽しむ他の地域での没入型
展覧会とはまた違ったおもしろさがあるように思います。
すでに博物館は何度も訪ねていたのですが、これを機会にまた訪ねる
ことにもなり、新たな気づきもあって、よかったです♪
Commented by shisouan at 2025-05-06 21:45
いつも素晴らしい景色をありがとうございます。
僕は、油絵は苦手。印象派の絵はまだ良しとしても、日本人画家が西洋の油絵を描くって?どうなのってな感じです。
好きなのは、水彩画。安野光雅さんの風景画が好きでした。
あとは、水墨画や俳画です。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-07 04:51
shisouanさん、温かいコメントをありがとうございます。
ゴッホ自身、日本の浮世絵から学ぼうと、いろいろな試みをしていたようですね。
印象派の絵、すてきですよね。わたしも好きです。
Commented by meife-no-shiawase at 2025-05-07 23:36
素晴らしいですね!!!
お写真だけでも、わーーー!となったので
実際にご覧になったなおこさんの感激はひとしおだったと思います。
かっこいいですね~。
最近はこういう壁に映し出したり360度楽しめたりといろいろなスタイルがありますが
イタリアの宮殿でなんて!!!
星月夜の演出なんてもうウルウルしちゃいそうです。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-08 04:50
メイフェさん、ありがとうございます!!!
大きな絵の映像と色と光の中に自分がいて、次々と映し出される
映像が変わっていって、まさにそのただ中にいるという感じでした。
宮殿なので白い長方形のスクリーンではなく、そのためにそれぞれの絵が
きちんと映るというのではなく、不規則な形をした宮殿内に映し出されるの
ですが、それがまた独特の魅力があってよかったです♪
降り注ぎ続ける星の明かりがきれいでした。
by milletti_naoko | 2025-05-05 23:23 | Umbria | Comments(10)