イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

平和と対話・慈愛 新教皇レオ14世の言葉に見える希望の光

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 昨夕は新たな教皇レオ14世(イタリア語ではPapa Leone)が選出されたというニュースを、階下の義父宅を訪ねて、新教皇のあいさつが中継されるテレビを見守る義父と夫の口から聞いて驚き、わたしもそのまま、二人と並んであいさつの言葉に耳を傾けました。




 平和(pace)橋(ponte)すべての人々(tutti)という言葉を繰り返し、平和と共生を祈りその大切さを説き、そして、苦しむ人々には手を差し伸べていきましょうと語るレオーネ14世の言葉から、「新教皇もまた、世界の強国の指導者が自らや自国の利益ばかりを考えて、戦争や壁づくりへと走りがちである時代に、フランチェスコ教皇同様に、平和と弱者への愛、皆の権利を大切に考える方だ」と、希望を感じ、うれしく思いました。

 「悪が優勢となることはないでしょう」(Il male non prevarrà)という言葉に、今ではその権化の一人と感じられるトランプ大統領が治めるアメリカ出身の教皇が歴史上初めて選出されたのは、トランプが導く米社会や世界の動きに対峙しようという意図がカトリック教会にあってのことだろうとわたしも感じ、昨晩見たいくつかのテレビ番組で、そう語る識者がいました。



 実は昨日は、朝から夜10時過ぎまで、来週から始まる学校の新しい講座のための連絡や話し合いで慌ただしく、夕方にはうちで個人授業もあって、生徒たちを午後7時半に見送って義父宅に寄ったら、夫と義父が新教皇が選ばれたと教えてくれて、そのまましばらく夫たちと共にテレビで新教皇のあいさつを聴いたのでした。このとき義父は、イタリア人の教皇でないことを残念がり、夫は、「こんばんは、皆さん」に始まったフランチェスコ教皇の素朴なあいさつと違って、最初から原稿があって信条などを伝えていて、長いなあと感想を言っていました。

 上に引用した日本語版のバチカンニュースには、このときの新教皇あいさつの日本語訳が載っていますが、イタリア語版(リンクはこちら)には、教皇が語ったイタリア語・スペイン語(一部)の言葉がそのまま掲載されています。イタリア語を学習中で中級・上級の方は、この記事冒頭の就任あいさつの映像をまずは何も見ずに一通り聴き、そのあとで、イタリア語版バチカンニュースのイタリア語のあいさつを書き起こした文を見ながら再度聴かれたら、いい勉強になるかと思います。


 昨晩はこの教皇就任あいさつのあと、夫と二人で夕食を食べに行ったのですが、今はちょうどミツバチたちの分蜂の時期で、昨晩も夫は義弟と共に、午後8時半頃まで巣分かれしたミツバチたちを養蜂箱へと入れなければならなかったため、出発と帰宅が遅くなりました。

 夕食が遅かったので消化できるようにと、わたしは真夜中まで起きて、テレビ各局の新教皇選出の特別番組を見ました。新教皇が聖アウグスチノ修道会(Ordine di Sant'Agostino)に属しているとは、夕食に出かける前にも知っていて、それを聞いてわたしが思い浮かべたのは聖アウグスチノと詩人のペトラルカだったのですが、うちに帰ってから、イタリアのカトリック教会のテレビチャンネル、TV2000を見ていたら、新教皇に関するニュースが終わって、昨年カッシャの聖リータ(Santa Rita da Cascia)を記念する祝祭日であった5月22日に、昨日教皇となったレオーネ14世がカッシャ(Cascia)で説教をした際の映像が放映されていて、それで、カッシャの聖リータも聖アウグスチノ修道会に属していたことを思い出しました。


 このときの説教を聴きながら、新教皇はやはり人柄のすばらしい方だなと思いました。

 今朝調べてみたら、カッシャでは新教皇にレオーネ14世が選出されたことを喜び、ウンブリア州では、聖フランチェスコの出身地であるアッシジを心にかけたフランチェスコ教皇に続いて、新教皇もまた聖リータの出身地であるカッシャに思い入れのある方で、教皇庁とウンブリアの強い絆はこれからも続くというオンライン記事がいくつも見つかりました。


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Commented by katananke05@ at 2025-05-10 10:17
イタリアの方が  選出されたパパ様は アメリカ人だと がっかりしたのは わかります〜
でも 今のアメリカのあの 下品なお方のやり方を 牽制する意味もあったのではm、という
推察は なるほど、、と納得です〜
英語でなくて イタリア語のコメントでしたね〜
レオ、、ライオン、、という名前は 手塚治虫の ライオンキングの主人公もそうだし
息子が以前いた スタジオにつけた名前もそれからとったのだったし
なんだか 親しみを覚えます〜
前のフランチェスコ教皇の 考えを1番引き継いでいる革新派の方であるとか、、 
伝統を重んじるも一つのグループと どうぞ仲良くやっていけますように、、、
Commented by getteng at 2025-05-11 08:39
naokoさん
米国出身者を教皇に選んだ理由にトランプ対策があったんでしょうか?
米国内のカトリック信者が増加しているという話は聞きますが。。。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-11 15:22
katananke05さん、昨晩見た番組では、世界の強国、西欧諸国で
移民排斥・差別など、弱者や小国に対する配慮のない右派が政権を
握る中、移民の子孫でペルーで人々が搾取されたペルーの地域で
長年勤めたこの新教皇をと、アフリカや南米などの票も多く集まった
のだろう、まさに今世が必要としている人物が選出された、選んだ
枢機卿たちも一人ひとりは問題がある人物がいても、大勢が集まると
こうしてすばらしい決定を下せるのはすばらしいと言っていました。
フランチェスコ教皇と平和への思いや弱者への慈愛など多くを共有しつつも
賢明でローマの教会、バチカン内の事情にも通じているので、今分裂
している教会をまとめる、そういう力量もあると期待されているとも。
インタビューを見ると、長く新教皇を知る人皆が、謙虚で精力的に活動して
思いやりがあってと語っていて、本当によかったです。
の言葉もあり、本当によかったです。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-11 15:29
gettengさん、昨日の番組で聞いた識者の話では、新教皇そのものの
これまでの経歴や活躍・心情や人となりに加えて、米国出身である
ということも重要かどうかという点については、意見が分かれていました。
けれども、これまでアメリカと言えばトランプという報道が続いていた中、
アメリカはそれだけではない、他文化や移民、明智、人道的、そういうアメリカ
の側面もあるわけで、それを体現するような米国の新教皇が生まれたことは
アメリカ国内に対するソフト面での政治的影響もあり、好ましいという点では
皆の意見が一致していました。
by milletti_naoko | 2025-05-09 20:43 | Notizie & Curiosita | Comments(4)