イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

天然の庭園 滝と川いろどる美しいシダ コタニワタリ

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 ノチェーラ・ウンブラの集落、アッジの滝、Cascate delle Ferce e Fiume Topinoをめぐるトレッキングコースは、車道からしばらく急な細道を下ったあとで、

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Aggi, Nocera Umbra (PG), Umbria 10/5/2025

道が二手に分かれます。

 土曜日にわたしたちは、まずは左手の道をひたすら川まで下り、


昨日の記事でご紹介した滝を訪ねてから、再び坂道を上って、冒頭の写真の分岐点まで戻り、今度は右手の道を下っていきました。

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 こちらの道は最初に下った左手の道に比べて、傾斜がゆるやかだったので、歩きやすかったです。夫がちょうど上の写真に写っているあたりで、後ろをふり返ったので、わたしも追いついて同じ場所から同じ方を見やると、

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奥の方に流れ落ちる大きな滝が見えました。

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 さらに下って小川に出ると、木の橋がかかっています。

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 そこで、木の橋を渡り、案内看板に従って、滝へと川を遡って歩きました。

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 勢いよく流れる川の傍らの細道を、その音と緑、清らかな水の流れを楽しみながら歩いていきます。

 ところがしばらく進んでから、先を歩いていた夫が「ここから先は進めないから、来た道を戻って川の向こう側に渡らなければいけない」と言います。

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 引き返してきた夫は、川から少し顔を出した岩を利用して、うまく向こう岸に渡ったのですが、夫ほど足が長くないわたしは、同じ場所で川を渡る度胸がありません。最初に川を渡った木の橋まで戻らなくても、その少し手前まで戻れば、向こう岸へと渡しかけた木の板があったので、

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わたしはそこまで引き返してから、川の向こう側を歩いて、滝へと向かいました。

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 すると、かなり滝に近づいたところに、こんなふうに丸太を渡した橋がかかっています。幸いロープが傍らにあったので、片手でロープを持ち、もう一方の手に持った登山用ストックで体を支えながら、橋を渡ることができました。

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 この橋を渡り終えた頃から、滝がきれいに見えてきました。ところが、上の写真で夫が立つ場所のすぐ前に、

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今度はロープのない丸太だけの橋があります。しかも、丸太が濡れているために足元が滑りそうです。夫はひょいひょいと渡っていったのですが、わたしはためらってしばらく立ち止まっていました。

 けれども、周囲に音をとどろかせて流れ落ちる滝を夫が眺めている様子を見て、勇気を出して橋をそろそろと渡り始めました。すると、戻ってきた夫が手を貸してくれたので、無事に橋を渡ることができました。

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 勇気を出したおかげで、そして夫が手を貸してくれたおかげで、みごとな滝を間近に見ることができました。

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 その滝の傍らの岩を緑のツタが覆い、その下方には、自生のシクラメンもたくさん咲いています。

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 木の葉の広い緑の植物は、チャセンシダ科(学名 Aspleniaceae、イタリア語名 Aspleniacee)の一群であるチャセンシダ属(学名 Asplenium、アスプレニウム属のシダ(イタリア語名 felce)、コタニワタリ(学名 Asplenium scolopendrium L.)で、まったく日が差さないところにしか育たないのだそうです。イタリア語では俗にlingua di cervo「シカの舌」と呼ばれるこのシダがこの滝へと続く川沿いを彩るようにあちこちに育っていて、自然が創り出した美しい庭園になっていました。


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Belle e rare le felci che ornano il sentiero
e il fiume Topino verso la seconda cascata
Bosco incantevole nascosto tra la strada e un paesino
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ブログテーマ:新緑の季節
Commented by tourtour0922 at 2025-05-13 13:10
素敵なお話ですね!
人生のお話みたいに思えました。
勇気を出したおかげで、違う景色が見えたり助けてもらえたりするのだなと、響きました(#^^#)
Commented by pothos9070 at 2025-05-13 15:28
こんにちわ~🎵
ひゃ~ お話し伺ってて、こっちがドキドキしましたよ^^;
こんな丸木橋を渡る度胸は私には無いなぁ(笑)
見事な滝を間近で見れて、何よりでした~(^-^)
Commented by ciao66 at 2025-05-14 17:04
ちょっとした冒険でしたね!丸太を渡した橋はなかなかスリリングですし、
持つところがない最後の丸太橋は、もっとすごいですね!
間近に見えた滝は迫力満点だったことでしょう。
シクラメンと美しいシダが彩りを添えましたね♪
Commented by katananke05@ at 2025-05-14 22:25
光をとおすかのような 緑色のシダが」とても美しいです〜
丸太並べた橋、、 私は怖くて渡れないな〜
Commented by milletti_naoko at 2025-05-16 18:45
tourtour0922さん、ありがとうございます。
勇気を出して違う景色が見えるという言葉に、太宰治の
新御伽話の浦島太郎の亀の話を思い出しました。
まさに今実践されていることそのままですね!
Commented by milletti_naoko at 2025-05-16 18:54
ぽとすさん、こんにちは🎵
登山用ストックを一本ですが持ち、登山靴を履いていた
わたしに対し、何も持たず普通の運動靴の夫がひょいひょい
渡っていったので、わたしに度胸がないのかなあと
思っていたら、やっぱりそうですよね、これはこわいですよね。
助けてもらって、迫力ある滝を近くから見られてよかったです♪
Commented by milletti_naoko at 2025-05-16 19:02
ciao66さん、ちょっと車道から細道を下っただけで、
そこに美しい森や川や滝があって感嘆しましたが、
滑りやすい坂道に急流の上にかかる丸太の橋と、冒険の
世界でもありました。近くから滝が見られて、本当に
よかったです♪
Commented by milletti_naoko at 2025-05-16 19:07
katananke05さん、川沿いを彩るように群生するシダが
とてもきれいで、自然が創り上げた庭園のようでした。
あの橋を渡るのはこわいと感じるのが、わたしだけではない
と知って、ほっとしています。こわいですよね。
by milletti_naoko | 2025-05-12 23:08 | Umbria | Comments(8)