イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

水仙咲きコオロギ鳴く高原をゆけば蛙たち歌う美しい池

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 カステッルッチョの高原でかつて自生の水仙が一面に咲くのを見たのは5月20日頃だったので、5月26日日曜日は、まだ花が咲いていますようにと祈りながら車で高原に向かいました。

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冬は雪に覆われていた峠も緑となり、シビッリーニ山脈の標高2千メートルを超える高峰にも、今ではわずかに雪が残るばかりです。

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 峠を越えて山を下ると、緑の高原にカステッルッチョ・ディ・ノルチャの村を頂く丘が見えてきました。

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 大勢の人々や車、バイクがひしめく中心街を通り過ぎ、丘を下ると、眼下に広大な高原、ピアン・グランデが広がります。1か月後には、真っ赤なひなげしや青い矢車菊などの野の花が咲いて美しいであろう高原の畑も、今は緑色です。

 わたしたちはこのあと、上の写真で中央付近を走る一本道を車で進み、

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やがて高原の奥の方に白い筋が、つまり、自生の水仙の白い花が咲いているのだろうと思われるところが見えてきたので、そのあたりへと歩いていきやすい駐車場に車を止めました。

 わたしたちが高原へと一歩を踏み出したあたりには、キンポウゲの黄色い花が咲いていて、

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水仙がたくさん咲いていると思われる白い帯は、上の写真で夫が見やっている高原の反対側の端付近と

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 夫が立つ位置から見て右手奥に見えました。

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 周囲を見渡すうちに、最初に二人で歩いていこうと考えていた高原の向こうの端あたりに雲が影を落とし始めました。

 そこで、わたしは「太陽が輝く下に咲く花を見たいから」と言って、夫とは別の方向、右手奥に見えていた日の当たっていた高原へと歩いていきました。

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 歩いていくと、周囲に咲く口紅水仙の花が少しずつ増えていきます。

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 ふり返ると、別の方向へと向かう夫が水仙の花の向こうに見えます。

 このあと、一度は夫と合流してしばらくいっしょに歩いたのですが、その後再びそれぞれ別の場所を歩くこととなり、わたしは先に右奥に見えていたあたりに咲く水仙の花の中を歩いた後で、今度は夫が最初に向かっていた高原の反対の端へと歩いていきました。

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 広大な高原の上に広がる空もまた広く、その空に浮かぶ雲も雄大で躍動感があります。

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 車道があるのとは反対の高原の端にある山のふもとを歩いていたら、シビッリーニ山脈のトレッキングコースに行き当たりました。このあと、さらに先に進もうか、それとも車へと戻ろうかと考えて夫に電話すると、夫は「あと30分ほど歩くつもりだ」と言います。

 トレッキングコースを先に進んでは車に戻るのに30分以上かかってしまうからと、そこでわたしも、高原を横切って車へと戻ることにしました。けれどもその前に、上の写真で左手前方に見えている池を見にいきました。

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 青い空が湖面にきれいに映り込んでいます。

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 高原のあちこちでコオロギの鳴き声が響いていたのですが、この池では、蛙たちがにぎやかに声を立てていました。

 この美しい風景をしばらく楽しんだあとは、

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はるかかなた、高原の反対側の端に伸びる車道沿いにある駐車場へと、高原を歩いていきました。まっすぐ歩いていたら早く着きすぎるだろうと考えて、

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途中で水仙がたくさん咲いていそうなところが目に入ると、そちらの方へと歩いて遠回りをして戻っていたら、高原は目に見えるよりもはるかに広く、そして、あちこちの地面が1、2センチメートルほどの水に覆われた草原は足もとを選んで歩かなければいけないために、戻るのに予想以上に時間がかかりました。この日は、青空と日の光の下に自生の水仙の白い花が咲くただ中を、存分に歩くことができて、とてもうれしかったです。

 車に乗り込んで、長い一本道を車で進むと、どういうわけか夫が時々急にハンドルを切ります。なぜかと尋ねると、たくさんのコオロギたちが車道を渡っているので、コオロギを避けるためとのことでした。

 規則正しい生活を送るように心がけていたら、最近では耳鳴りを気にせずに眠れるようになっていました。ところが、土曜の晩につきあいで帰宅と就寝がひどく遅くなり、日曜から今朝にかけて授業やその準備など仕事で慌ただしく、生活のリズムが乱れてきたら、再び耳鳴りと寝不足に悩まされるようになってきました。ただ、かつては洗濯機か食器洗い機の立てる音のようだった幻聴が、この数日はコオロギが立てるような鳴き声に変わり、同じ耳鳴りでも心と耳に優しく、あの壮大な高原と美しい水仙の花の風景をどこか彷彿とさせてくれたりもするのでありました。

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ブログテーマ:写真の日
Commented by getteng at 2025-05-28 23:46
naokoさん
残雪の山々、きれいな水仙、広大な草原は湿原ですか?
イタリアの自然って素晴らしいですね。
残念なのはガ-ドレ-ルですが。。。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-29 04:40
gettengさん、この高原の村がある丘に近い方は、馬が放牧されて
いたり畑があったりするのですが、わたしたちがこの日歩いた
あたりは、水が下方へと岩の間を通って流れ落ちていくまでの
流れがあり、昨日初めてその岩間へと流れていく川を見て、
興味深かったです。
Commented by 3740s at 2025-05-29 09:18
おはようございます。

日本では見れない開けた景色とみどりが美しい。(喜)
Commented by milletti_naoko at 2025-05-29 18:48
3740sさん、こんにちは。国立公園なので自然が守られているのに
加えて、古来牧畜のさかんな地域なので、山の斜面の草を放牧された
羊や馬や牛が食べるので若木の芽も食べられてしまって木がほとんど
育たないのが、このあたりの風景の特徴でしょうか。
イタリアでも高峰の間に大きな高原が広がるのは珍しく、
カステッルッチョの高原はそのうちの一つなんです。
Commented by hotarublog3 at 2025-05-29 20:27
イタリアって一度だけ行ったことがありましたが
こんなに雄大な高原があるのは知らなかったです。
素晴らしいですね~
一度でいいから歩いてみたいですがそうもいかず・・
見せて頂けてとても嬉しいです♪
Commented by koito_hari616 at 2025-05-29 20:52
こんにちは

プロフィール画像を替えられたのですね♪
イタリアらしい自然とお花でとても可愛いです
なおこさんのお気に入りの水仙が真っ白くて清々しいですね
Commented by milletti_naoko at 2025-05-29 22:10
ほたるさん、日本からイタリア旅行と言うと、日数も限られて
いますから、どうしても最初は名高い町をめぐることになりがち
ですよね。高峰の間に広がる高原は、わたしが訪ねたことがある中では、
このカステッルッチョとアブルッツォ州のカンポ・インペラトーレが
とりわけ美しいように思います。

わたしも心からのコメントをいただくことができて、うれしいです。
Commented by milletti_naoko at 2025-05-29 22:22
結うさん、こんにちは。気づいてくださったんですね!
最近変えたばかりの写真がどうかなあと気になっていたこともあり、
元ツイッター、現Xのプロフィール画像を、この水仙の写真好きだなあ
と思って変えたついでに、他のSNSのプロフィール画像と共に、ブログも
プロフィール画像とカバー画像を変更いたしました。
ありがとうございます。青空の下高原の水仙の花の中を歩いたときの
うれしい気持ちと美しい眺めを思い出せる写真で、気に入っています。
by milletti_naoko | 2025-05-28 23:29 | Umbria | Comments(8)