イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

久しぶりのシチューと豆腐と夫婦げんか

 昨日は夕食にと、冷凍庫にあった七面鳥の胸肉を早くから取り出して冷蔵庫の棚に移し、解凍してありました。鶏でも七面鳥でも、胸肉というと、お義母さんはよくフライパンにオリーブオイルを引き、ニンニクとセージの葉を炒めて香りをつけてから、塩とコショウをふりかけた肉を焼いていました。おいしくもあり、また夫にとっての母の味でもあるのでしょう、以前は時々しょうが焼きにもしていたのですが、最近では夫がお義母さん風にニンニクとセージで素材の味を活かすレシピが好きなのだと分かり、夫と食べるときには、わたしもよくそうやって料理しています。

 けれども、昨日解凍した胸肉は二切れで140gですからそれほど多くもなく、また、近頃はひどく寒い日が続いていたので体が温まるからと、この胸肉を使ってクリームシチューを作ろうと思い立ちました。



 かつて作ったら夫もおいしいと喜んでくれたのを覚えていて、今記事で確認すると、それは15年前、2010年11月26日のことでした。今回も同じレシピを参照してルウなしで作り、ただし、サラダ油の代わりにオリーブオイル、牛乳が家になかったので代わりに豆乳とオーツミルクを半分ずつ使い、白ワインや酒はなしで作りました。

久しぶりのシチューと豆腐と夫婦げんか_f0234936_05003828.jpg

 牛乳の代わりに豆乳とオーツミルクを使ったので、どういう味になるか不安だったのですが、幸い、幼い頃から慣れ親しみ、母がよく作ってくれていたハウスのクリームシチューのあの味になりました。

 久しぶりの懐かしい味がおいしくて、夫も喜んでくれるだろうと思ったら、おいしいとは言うのですが、単純にニンニクとセージの葉で炒めただけの料理の方がよかったとぽつりと言いました。ホワイトソースを使うこってりしたフランス料理より、素材の味を活かすイタリア料理の方が好みだと夫は言うのです。


 過去記事を検索してみると、先の記事の2年後、2012年にはもう夫は、「ぼくはフランス風の料理よりもあっさりした料理の方がいい」と、シチューを見てぶつぶつ言っていました。慣れて生まれ育った味が違うので、夫はそう感じるのでしょう。わたしにとってはシチューは懐かしい母の味なのですが、夫にとってはフランス風の料理でしかないのです。

 夫は味噌や味噌汁は健康にいいからと、時々なら文句を言わずに食べるのですが、近年は、豆腐を食べるのを嫌がります。イタリアの豆腐がかたくてあまりおいしくない上に、女性ホルモンに似た作用を大豆イソフラボンが持つので男性にはよくないと、どこかで読んで信じ込んでいるためでもあります。それでも豆腐の入った味噌汁を作ると、嫌そうな顔をしながらも食べていたのが、先週は「ぼくは嫌いだから豆腐の味噌汁はニ度と食べない」と腹を立てて言うので、「手伝いもしないくせに文句ばかり言って」とわたしが応じて、けんかになりました。豆腐と言っても豆腐だけではなく、あれこれ他の野菜も入っていたのですが、そこまで強く言わないと、今後も食卓に豆腐の味噌汁が出てくるだろうと考えるほど、夫は豆腐を食べたくなかったのかもしれないと、今になって思います。

 あれは先々週だったか、夫がぼくには豆腐の代わりに卵を入れて味噌汁を作ってほしいと言うので、具の野菜が煮えてから、二つの鍋に分けて、一つには豆腐、一つには卵を入れてと手間が増えて大変だったので、そのときはわたしの方が怒ったのでした。

 わたしだって、わたしが食べない貝やタコやイカを、夫が二人の食事用にと作ったらきっと嫌な顔をすることでしょう。基本的には食事を用意するのはわたしなのでそういうことは起きず、わたしが食べたくないレバーは、食べたいときは夫が自分で料理して、その傍らでわたしは別の肉を焼いたりしています。

 いっしょに暮らし始めてから20年。お互いが心地よく暮らして食事を楽しめるように、いろいろ気をつけていたわりあっていかないといけないなと、改めて思う今日この頃です。


↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

ブログテーマ:いい肉の日
Commented by meife-no-shiawase at 2025-11-26 15:48
ちょっと長く日本に一時帰国していたのでご無沙汰しておりました。

なおこさんの今回の記事を読んで、食の好みって本当に「育った味」と深くつながっているんだなぁと改めて感じました。

温かいシチューの香りや、子どもの頃の食卓を思い出させてくれる味は特別ですよね。わかります。私も母のシチューとか、きんぴら炒めとか、今も食べると子供の頃に気持ちがワープします。

それとは別に、ご主人にとっての「落ち着く味」がまた別のところにあるのでしょうね。

特になおこさんの場合は国際的な背景の違いもあるので、なおさら、あら、ちがう・・・と思うところも多いのかなと思います。

豆腐の件も、こちらとしては体にいいものをと思って用意しているのに、相手は相手で苦手な理由があって、すれ違ってしまう…その空気が文章からそっと伝わってきました。

私なんてお豆腐大好き人間なので、え?なんで~美味しいのに・・・なんて思ってしまいますが(笑)。

でもブログというのはやはり大きな記録になっていますよね。
作ったお料理を思い返したりできるし、私も時々、昔のブログを読むと、すっかり忘れていたことなどが書いてあって自分でビックリしたりします。(笑)。

せっかくなので美味しいものをご主人様と楽しんでくださいね♪
Commented by milletti_naoko at 2025-11-26 19:03
メイフェさん、すてきな日本の旅を楽しまれましたね。
訪ねた同じ場所にもこんなところがあったのだと教えていただき、
いつか日本で旅行をするとしたらぜひ訪ねてみたい場所も
メイフェさんのおかげで増えました。大阪の天空美術館、すばらしいですね。
こういう絵画があり得るのだということと、写真を通してでさえ
絵から伝わってくるエネルギーに感嘆しました。

食はもちろんなのですが、歌などでも、イタリアでは当然イタリアの昔懐かしい
歌が流れることが多いのに対し、日本の歌はまずテレビでは流れないので、
最近はYouTubeのおかげで懐かしい歌を聴くことができて、歌と共にその歌を
聞いていた頃、はやっていた頃のことも思い出されて、懐かしいです。

そういうちょっとした共有が、ブログを通してできることがあってありがたいです。
夫も以前は食に関してもっと柔軟だったように思うのですが、いっしょにいる
歳月が長くなって、遠慮なく言えるようになったということもあるのでしょう。

豆腐も以前は日本の豆腐はおいしかったのにと言っていたのですが、男性にはよくない
という疑いのため、今は絶対に食べたくないそうで、わたし一人のときに食べればいい
話ではあるのですが、夫にとっても体にいいはずなので残念です。

ありがとうございます。できるだけ、二人とも喜べて、食の時間を楽しめるように
したいと思います。お義母さんの生前からなのですが、夫ったら、おいしいと思うとき
には何も言わず、文句があるときだけ口を開くので厄介なのですけれども。
Commented by getteng at 2025-11-26 19:33
naokoさん
あるうちの話ですが、結婚して15年経って旦那さんが「俺は豆腐の味噌汁が嫌いなんだ」と言ったそうです。
それでどうなったか、どうしたのかまでは深く聞きませんでしたが。。。
Commented by milletti_naoko at 2025-11-26 21:16
gettengさん、そう言えば、日本の愛媛県で勤めた2校目の高校では、先輩の先生方が飲み会のときに、「うちは新婚旅行中にケンカをして途中から話をしなかった」とか、「畳んだ洗濯物の入れ方でもめる」とか、そういう話をよくされていました。

なるほど、早くから言ってくれれば対処できたのにということもあるでしょうし、遠慮もあるのでしょうね。
Commented by nonkonogoro at 2025-11-27 21:37
私達夫婦は
日本人同士だし 近場で育ってきたにもかかわらず
やはり 食べ物の好みに差はあります。

ずっと夫の好みに合わせてきましたので
一体私の好きな物は何だったんだろう~と思って
なんだか 哀しくなったりもする この頃です。

クリームシチュー 
美味しいですよね。
私は母の味ではないですけれど(笑)
たぶん 昔は クリームシチューなど家庭料理では
なかったのでしょうね。

日本人は 家庭でも 世界各国の料理を自然に作っていますが
イタリア人は イタリアの料理しか作らないのかもしれませんね。 中華やフレンチなどは 食べ慣れてないのかな。

豆腐 キライなのは納得できそうです(笑)

今日は おでん~(*^^)v
昨日の残りのシュウマイも入れてみました。

夫は何故か ブリが嫌いで食べません。
だから 自分の分だけ 買ったりします。

夫も 自分の大好きな タコやさしみは
自分で買ってきて 一人で食べています。

Commented by milletti_naoko at 2025-11-29 04:55
のんさん、やっぱり同じ国に生まれ育っても、食べ物の好みは
違って来ますよね。

シチューはそうですね、母の味というか、母がよく作ってくれていた
たくさんの料理の中の一つで、日本では食べ慣れていたのにイタリアでは
自分で作らなければ食べることができない料理の一つです。

記事をきっかけに調べてみたら、クリームシチューをハウスが作るようになった
いきさつや歴史も書かれていて、興味深かったです。戦後の栄養が不足しがちな
時代に子供たちが栄養を取れるようにと学校給食に導入されて、それを家庭でも
手軽に作って楽しめるようにとハウスがルウを考案して製品化したようです。

日本ほどではありませんが、イタリアでも外国の料理に興味を持って作ってみる
人はいるんですよ。ただ、世界各国の料理が食べられる店は日本に比べると
少ないです。

おでんもシュウマイも長い間食べていないので懐かしいです。お互いに自分の好きな
ものも楽しめる、それも大事ですよね。
Commented by みーは at 2025-11-30 17:25
わかりますよークリームシチュウは日本の家庭の味ですもんねー。私も大好きで寒くなると食べたくなります。
私は自分ではTwitterはやらないんですけど時々スキマ時間に読んだりするんですよね。その中にTomyさんていう、真面目すぎる日本人の気持ちがホッとするような素敵な言葉を綴っておられる方がいるんですけど、その方が確か「良いパートナーとは、自分が不満を感じない人ではなくて、自分の不満も伝えられる人」というようなことを言っておられました。まったくその通りですね。「手伝わないくせにっ」と、応戦するなおこさんはめちゃくちゃ正しい!(笑)。言葉の壁は大きな問題ではないと言われることもありますが、やはりお互いが伝えるのに十分であることが望ましいなあ。とても勉強になりました。
Commented by katananke05 at 2025-11-30 21:53
私はシチューといってもどちらかといえば あっさり系のトマトを入れたシチューが好きですが
時々はクリームシチューも食べたくなるし、、
今夫は胆管がわるくなり 急に 肉類や生物を好まなくなり、、
我が家も アタクシ系と夫系と
分けて料理をしたりして 面倒です〜
ずいぶん痩せたのでそれでもしっかり食べてくれる方が 嬉しいから
できるだけ 夫の要望にそうようにはしていまするわ〜
お互い「おいしいね〜 美味しいね〜」と言い合い 食べるのが 
いちばんの我が家の幸せかもです〜
どこもそうかしらね〜
Commented by milletti_naoko at 2025-12-08 03:43
みーはさん、クリームシチューはおいしいですよね。
洋風だからこれなら夫も喜ぶかと思ったら、洋風ならば
言い訳ではないのだなと驚きました。
Tomyさんの言葉、すてきですね。確かに思うことを言えて
お互いに寄り合うこと、とても大切だと思います。
Commented by milletti_naoko at 2025-12-08 03:45
katananke05さん、やはり同じ日本に生まれ育っても、
食べ物の好みの違いや、食べられるもの、食べられないもの
というのが人によってありますよね。だんなさま、きっと
温かな重いのこもったお料理を喜んで食べられていることでしょう。
by milletti_naoko | 2025-11-26 05:17 | Gastronomia | Comments(10)