イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

幸祈り夫作るへび伝統のアーモンド菓子セルペントーネ

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 まもなく去ろうとする今年の干支、へびの形をしたアーモンド菓子、セルペントーネ(serpentone)を、今年は夫がいつになくたくさん作りました。

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23/12/2025

 セルペントーネは、ウンブリア州、ペルージャ県の伝統的なお菓子です。蛇がくねって描く円が、古い年が去り、新しい年が訪れる年のめぐりを象徴するそうで、主に、クリスマスから年末年始にかけて食べられます。セルペントーネは、「大きい蛇」(serpente「蛇」+拡大辞-one)という意味で、我が家では皆がこう呼ぶのですが、トルチッリョーネ(torciglione)という別名もあります。



 義家族では、いつも今は亡き伯母さんが中心となって作っていたそうで、夫はいつもその伯母さんのレシピに従って、アーモンドと卵白と砂糖を主な材料として、小麦粉はいっさい使わずに作っています。おば亡きあと、2012年に初めて夫が中心になってセルペントーネを作った上のリンク先の記事で、作る過程を写真と共にご紹介しています。

 皮つきのアーモンドを購入して、皮がむきやすくなるように、沸かしたお湯でさっと煮たあと、すべての皮をむいて、湿り気の残るアーモンドを乾かし、アーモンドが乾いたら挽いて粉にしてと、生地を作るまでの作業にもかなりの時間がかかるため、「作りたいと思う年とその気になれない年がある」と夫は言います。

 作っていても記事にしていない年もあることと思いますが、ブログの過去記事を見ると、2017年には作って贈り物にもし、去年はさっと作って自分たちだけで食べたようです。

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17/12/2025

 夫が今年最初のセルペントーネを作り始めたのは、12月の半ばでした。上述のように、生地を作るまでにもかなり時間と手間がかかり、前日にはアーモンドが乾かなかったので、17日の夕方、仕事から帰ってから、アーモンドを挽く作業に取りかかり、夕食後に生地をこね、形を作って焼いていました。

 翌日に職場であったクリスマス会で同僚と交換し合うための贈り物として作ったため、小さいへびでしたから、セルペンティーナと呼ぶべきでしょうか。これはまだ生地を作っている最中で、翌朝仕事に出かける前に贈り物として袋に複数入れていく前には、目や舌も工夫してつけたそうです。今年はわたしは学校のプロジェクトの仕事の締め切りに追われていたため、夫が菓子作りに励む傍らで食事のしたくと片づけだけして、セルペントーネ作りはほとんど手伝いませんでした。

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21/12/2025

 その数日後、大量に皮をむいたアーモンドがまだ残っているからと、夫が作ったのが、上の二つのセルペントーネです。

 このセルペントーネもいい色に焼けておいしそうだったのですが、「焼きすぎてかたすぎるのではないか」と、マルケ州に暮らす従兄の家にお見舞いに出かけるために手土産として贈ろうと考えたセルペントーネは、12月23日前日と当日に、仕事から帰って心を込めて作りました。それが冒頭の写真のセルペントーネです。

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23/12/2025

 本来なら特に必要がない手術を医師の勧めて受けたいとこが、それまでは元気で、手術も簡単なものだと聞いていたのに、手術のあとに重態に陥り、12月23日にいとこの家を訪ねるまでの間に、夫は2度、わたしは1度、遠方の病院にお見舞いに行っていました。と言っても、集中治療室だったため、わたしと義弟の奥さんは車で夫たちといっしょに病院には行ったものの、本人には会えず、家族の皆とあいさつして話すばかりでした。

 そのいとこが命を取り留め、さらに退院して今は家で過ごせていると聞いて、皆で喜び、心底うれしく思いました。この日、いとこに会おうと夫と義弟と3人で出かけたとき、夫が手土産にと作ったセルペントーネには、退院を祝い喜ぶ気持ちと、どうかこれからも従兄にずっと元気でいてほしいという願い、家族の皆のそれまでの苦労や心配を労わる思いが込もっていて、愛いっぱいのセルペントーネだったことと思います。とびきり大きいセルペントーネを作って、クリスマスの前に届けようとしたのは、クリスマスに息子や孫たちと皆で食べてほしいと考えたためでしょう。先日いとこから「とびきりおいしかった」というお礼のメッセージがあったそうで、夫もうれしそうでした。12月23日には、かなりやせてしまってはいるものの、元気そうないとこと会って話をすることもできて、ほっとしました。

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 いとこの家が遠方にあるために帰宅が遅くなり、共にお見舞いに出かけた義弟の家はトーディで、ペルージャからさらに車で3、40分かかるため、通り道にあり、しかもうちから近い店で夕食を食べました。

 この店が開店してから数か月ほど経ったことでしょうか。いつもたくさんの客でにぎわっているようだったので、うちから近いこともあり、前に一度行ったら、夫が食べたピザもわたしが食べたハンバーガーも残念だったのですが、この日はわたしが食べた料理も夫たちが食べたピザもそこそこにおいしかったです。トマトの酸味が強く、添えてあるザジキソースかと思われるクリームはわたし好みではありませんでしたが、焼いたサーモンはとてもおいしくて、野菜が添えられているのがうれしかったです。夫はピザに使われているのが産業用の安いモッツァレッラチーズではないかといぶかっていましたが、夫と義弟によると、おいしいと言ってもいいピザだったそうです。

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 ここはかつて別の名前で別の人が経営していた店で、今度の店はわたしが知る限りでは同じ場所で営業する三つ目の店です。感染下で閉店を余儀なくされることが多く大変だったときに、建物の所有者が値上げを要求した、あるいは賃貸料を要求し続けたのが原因で、二つ目に入っていた店が撤退したとうわさに聞き、もう長い間使われることのなかった店舗が、ようやくよみがえって活気づきました。わたしと夫は個人的には、最初にあった店が一番好きだったのですが、今の店もピザやいろいろな料理が食べられることもあり、今のところは人気があるようです。


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ブログテーマ:年末年始の過ごし方
Commented by yumechiyan at 2025-12-30 05:15
おはようございます
少し早いけれど今年も楽しまさせて頂きありがとうございます
来年もまた楽しまさせて下さいね 良いお年をお迎え下さい
Commented by yuta at 2025-12-30 06:39
蛇のお菓子とは珍しいですね。
結構リアルです。
小さい子供は怖がらないですか?
コチラでは見たことないです。
Commented by takeshi_kanazaw at 2025-12-30 09:50
昔からの食べ物は、作り手が続けること自体が大変。
でも、出来上がったものは、味だけじゃない価値があるような。
Commented by getteng at 2025-12-30 10:51
naokoさん
イタリアではヘビがお菓子になるんだ!
Commented by ciao66 at 2025-12-30 14:58
手作りのかわいい蛇のお菓子、目も舌も有って、
ぐるっと巻いたところもいいし、
アーモンドの模様も決まっていますね。
貰ったいとこさんは喜ばれたことでしょう。
作ったご主人もその甲斐が有りましたね!
Commented by meife-no-shiawase at 2025-12-30 15:17
なおこさん。

ウンブリアの伝統菓子「セルペントーネ」にまつわる、愛情に満ちた素敵なエピソードをありがとうございます。

アーモンドの皮をむくところから始まる、気の遠くなるような手作業を経て完成するお菓子には、単なる「料理」以上の重みがありますね。特に、危篤状態から回復された従兄様への贈り物として焼かれた特大のセルペントーネは、「快気への願い」そのものだったのでしょうね・・・。

ご主人様がお仕事で忙しい中、夜を徹して目や舌まで工夫して作り上げたという描写に、そのお人柄と家族への深い情愛を感じて胸が熱くなりました。その想いが通じて、従兄様がご家族と一緒にお菓子を囲み、「おいしかった」と喜んでくださったことは、旦那様にとっても何よりのクリスマスプレゼントになりましたね。本当に良かったです。

年末年始、古きを送り新しきを迎える蛇の形。この伝統菓子がなおこさんご一家に運んできた「再生」の喜びが、そのまま新しい一年を照らす光となりますよう、心よりお祈りしています。

旦那様の心のこもったセルペントーネ、お写真からもその温かさが伝わってきました。
Commented by katananke at 2025-12-30 17:36
アーモンドを殻を外し、、から始めて粉に挽くという工程も経て、、と
大変手間がかかるお菓子ですね、、
こちら日本ではアーモンドプードル(粉にしてある)も 高価ではありますが売ってるので
比較的手間が省けるとは思うけど
アーモンドを使ったお菓子は 香りも甘くて
みんな大好きだと思いますよ〜
ご主人様が作られるなんてすばらしいですね〜
食べてみたいですよ〜
元気になられたいとこの方も 感謝いっぱいで 喜んで食べられたことでしょう〜
Commented by milletti_naoko at 2025-12-30 18:07
ゆめちゃん、こんにちは。
こちらこそ楽しみに読んでくださって、ありがとうございます。
どうかよい年末年始をお迎えくださいませ。
Commented by milletti_naoko at 2025-12-30 18:24
yutaさん、山道などを歩いていて出会う本物の蛇はこわいので、毒がほとんどないという蛇もこわがられているのですが、このお菓子は昔から伝わる縁起物でおいしいお菓子と皆が知っているからか、姪たちが幼い頃もこわがっていなかったように思います。

どういうわけかもう1年近く、あるいはそれ以上、パソコンからもスマホからもFC2ブログにアクセスできない状況が続いていますので、残念ながらご訪問ができず失礼いたします。
Commented by milletti_naoko at 2025-12-30 18:25
takeshi_kanazawaさん、おっしゃるとおり、こうやって次の世代へと地域や家族の味や伝統が伝わっていくのですよね。
心のこもった唯一無二の贈り物だと思います。
Commented by milletti_naoko at 2025-12-30 18:33
gettengさん、そうなんです!
Commented by milletti_naoko at 2025-12-30 18:33
ciao66さん、ありがとうございます。
ちなみに大きいセルペントーネの目はコーヒー豆なのですが、小さいヘビの顔は溶かしたチョコレートでかいたそうです。
職場でも好評だったとは夫からも聞いていたのですが、クリスマスコンサートで歌った夫の同僚からも直接聞きました。
Commented by milletti_naoko at 2025-12-30 18:51
メイフェさん、心からの温かいお言葉をこちらこそありがとうございます。

夫は父方のいとこは多いのですが、このいとこは母方の唯一のいとこで、そのためもあってお互いに昔から交流も多く、いとこがペルージャの大学に通ったときには、夫の家に住み、夫の部屋でいっしょに過ごしたそうです。

夫より少し年上ですでに退職したいとこと、山を登りに行ったら偶然出会って驚いたこともあり、それほど元気な人だったので、皆で驚き悲しみ心配していたので、元気が戻って退院できて、本当によかったです。

セルペントーネのレシピを夫が受け継いだ伯母さんは、このいとこの伯母さんでもあり、彼もかつて慣れ親しんだ懐かしい味でもあるはずで、だからこそ夫もお祝いと祈りを込めて新たに作り、いとこも喜んでくれたのだと思います。

メイフェさんの四国の旅、金毘羅参りにはわたしも遠い昔に夫と行ったのですが、こういう旅の仕方やお店、宿があるのだと興味深く拝読しています。

長いつきあいのあるお友達や若者、ブログで知り合われた新しいお友達との楽しいひとときも、メイフェさんが日頃からずっと人とのご縁を大切にされているからこそだと思います。すてきですね。

新しい年がメイフェさんにとって、うれしいことの多い、すてきな年となりますように。
Commented by milletti_naoko at 2025-12-30 18:51
メイフェさん、心からの温かいお言葉をこちらこそありがとうございます。

夫は父方のいとこは多いのですが、このいとこは母方の唯一のいとこで、そのためもあってお互いに昔から交流も多く、いとこがペルージャの大学に通ったときには、夫の家に住み、夫の部屋でいっしょに過ごしたそうです。

夫より少し年上ですでに退職したいとこと、山を登りに行ったら偶然出会って驚いたこともあり、それほど元気な人だったので、皆で驚き悲しみ心配していたので、元気が戻って退院できて、本当によかったです。

セルペントーネのレシピを夫が受け継いだ伯母さんは、このいとこの伯母さんでもあり、彼もかつて慣れ親しんだ懐かしい味でもあるはずで、だからこそ夫もお祝いと祈りを込めて新たに作り、いとこも喜んでくれたのだと思います。

メイフェさんの四国の旅、金毘羅参りにはわたしも遠い昔に夫と行ったのですが、こういう旅の仕方やお店、宿があるのだと興味深く拝読しています。

長いつきあいのあるお友達や若者、ブログで知り合われた新しいお友達との楽しいひとときも、メイフェさんが日頃からずっと人とのご縁を大切にされているからこそだと思います。すてきですね。

新しい年がメイフェさんにとって、うれしいことの多い、すてきな年となりますように。
Commented by milletti_naoko at 2025-12-30 18:55
katananke05さん、皮がむいてあるアーモンドを買って作る人もいれば、トーディの義弟の奥さんのようにアーモンドをミキサーにかけて挽く家庭もあり、小麦粉を混ぜるようにと書くレシピも存在したりして、レシピも作り方も家や地域によって異なるのですが、夫はこうやっておばさんのレシピに従って作るのが一番おいしいと、アーモンドの皮をむくところから始めています。

夫がそのレシピに従って作ったおばさんは、このいとこのおばさんでもあったので、きっと懐かしい味を重ねてさらにおいしく食べてくれたのではないかと思います。
Commented by pothos9070 at 2025-12-31 15:30
とうとうヘビさんの年も終わってしまいますねw
立派なお菓子ですね~
作るのにそんな手間暇をかけてすごいです。
アーモンドが殆どってことは、栄養価も高いんでしょう。
カロリーも高そうだけど💦
さて今年もありがとうございました。
どうぞ良いお年をお迎えくださいね(^-^)
Commented by milletti_naoko at 2025-12-31 20:44
ぽとすさん、仕上がると柔らかめのビスケット状になって、傷むことなく少しずつ長く食べられるお菓子であることを思うと、もののない昔の人の知恵もこもっているように思います。
栄養価も高いけれど、だいたい一片、25gくらいに切り分けてそれを一人分として食べるので、まあお代わりをする人もいますが、ケーキ一つと同じくらいのカロリーと言えるかもしれません。

こちらこそありがとうございました。
ぽとすさんもどうかよいお年をお迎えくださいませ。

by milletti_naoko | 2025-12-29 21:54 | Gastronomia | Comments(17)