イタリア写真草子 ペルージャ在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

ロダーリ反戦詩をオリンピック開会式で読んだ歌手Ghali サンレモ2024でも歌で伝えた共生・平和への願い

ロダーリ反戦詩をオリンピック開会式で読んだ歌手Ghali サンレモ2024でも歌で伝えた共生・平和への願い_f0234936_06272903.jpg
 現在開催中の冬季オリンピックの開会式では、「そして、オリンピックの精神と平和を語るときです。(Ed è il momento in cui si parla di spirito olimpico e pace)」というアナウンスの言葉に続いて、若き歌手、ガーリ(Ghali)が舞台に現れ、ジャンニ・ロダーリ(Gianni Rodari)の反戦の詩、『Promemoria』を朗読しました。





Promemoria Gianni Rodari       覚え書き  ジャンニ・ロダーリ

Ci sono cose da fare ogni giorno:  毎日しないといけないことがあります。
lavarsi, studiare, giocare,      体を洗うこと、勉強すること、遊ぶこと、
preparare la tavola,a mezzogiorno. 昼にテーブルの準備をすること。

Ci sono cose da fare di notte:   夜にしないといけないことがあります。
chiudere gli occhi, dormire,    目を閉じること、眠ること、
avere sogni da sognare,      夢を見ること、
orecchie per non sentire.     耳はあっても周囲の音は聞かないこと。

Ci sono cose da non fare mai,   絶対にしてはいけないことがあります。
né di giorno né di notte      昼も夜も、
né per mare né per terra:     海でも地上でもしてはいけないことが。
per esempio, la guerra.      それは、たとえば、戦争です。


 この詩の朗読に感動したことはこちらの記事に書き、開会式を見終えたあと、眠い目をこすりながら、詩の朗読音声つきの映像と共に、原文、わたしなりの日本語訳を書いた2015年11月に投稿した次の記事を探して、リンクを添えて送信してから眠りました。



 2月7日土曜日は、アクセス数がいつもの倍以上あり、いったいどうしたことかと思って調べると、その日だけで、2015年にジャンニ・ロダーリの詩について書いた上のリンク先の記事のページビュー数が565となっていて、その訪問の大半がグーグル検索からたどり着いたらしいと分かって驚きました。そして、ジャンニ・ロダーリの反戦の詩に興味を持たれた方がこんなにもいるのだとうれしかったです。

 そこで今夜は機をとらえて、興味を持たれた方がいらしたらと、過去に記事にしていたジャンニ・ロダーリの他の二つの詩をご紹介いたします。

 一つは「今日は世界に涙を流す子供が一人もいませんように。肌の色が白かろうと、黒かろうと、黄色であろうと、同じように笑顔でいることができますように。」、



「わたしたちが互いに助けの手を差しのべあえば、奇跡は起こるのです。そうしたら、クリスマスの日が1年じゅう続くことでしょう。」とうたう『Lo zampognaro』という詩で、クリスマスに寄せて、この詩の後半の原文とわたしなりのイタリア語訳を添えています。

 もう一つは『謝肉祭のいたずら』(Scherzi di Carnevale)という子供向けの楽しい、けれども、深く考えさせるところもある詩です。



 今、イタリアではちょうど謝肉祭(Carnevale)の真っ最中です。上のリンク先のページでは、ジャンニ・ロダーリの詩がイタリア語の学習教材となっていて、原文・朗読音声のある動画・日本語訳をご紹介していますので、興味のある方はご覧ください。

 下の訳は、上のリンク先の記事から引用したものです。

ロダーリ反戦詩をオリンピック開会式で読んだ歌手Ghali サンレモ2024でも歌で伝えた共生・平和への願い_f0234936_07494999.png

 仮面をつけて、口先だけ市民が望みそうなことを言っておいて、実は自分の利益しか考えない、そういう政治家の本当の顔を見抜く賢さを世界中の人が持って投票し、戦争や差別のない皆が平和に生きていける世の中にしていけたらと切に願っています。

 ミラノ・コルティーナ2026冬季オリンピック開催式で、ジャンニ・ロダーリの詩、『Promemoria』を朗読したガーリは、かねてから皆が幸せに暮らせる差別のない平等な社会、戦争のない平和な世界をと歌い、亡命のために乗り込んだ船の沈没で移民の命が失われることを防ごうと社会的に貢献してきています。イタリアで、けれどもチュニジア人の両親のもとに生まれ、差別にも遭い苦しい思いをして育ってきたからこそ、32歳の若さでありながら、人の痛みが分かり、差別や戦争、亡命で失われる命のない世の中のために積極的に活動しているのでしょう。

 2024年のサンレモ音楽祭でガーリが歌い、4位を獲得した歌、『Casa mia』にも、そういう彼の志や姿勢がはっきりと語られ、聞く人の心に訴えかけています。





 歌の原文と訳をそのまま載せると冗長になってしまうので、主要な部分を引用し、訳してみます。前半は、一部省略して要約した上での意訳となっています。


Sto già meglio se mi fai vedereIl mondo come lo vedi tu
Non mi serve un'astronave, lo so
Casa mia o casa tua
Che differenza c'è? Non c'è

宇宙から見れば、君の家もぼくの家も同じだ。何の違いがあるというんだ。
宇宙人である君が世界を見るようにぼくも世界を見てみたい。

Per tracciare un confine
Con linee immaginarie bombardate un ospedale
Per un pezzo di terra o per un pezzo di pane
Non c'è mai pace

ただ頭の中にあるだけの線に基づいて境界線を引くために病院を爆撃したりして、
ほんのわずかな土地のため、あるいは一切れのパンのためにと、平和なときが一刻もない。


 分け隔てをしていがみ合い奪い合うのではなく、違いを認めつつも尊重し合い、助け合っていく、そういう社会にしていきたいものです。

 言論などの自由を抑圧し、移民を悪者扱いして排斥しようとし、アメリカにはトランプ大統領が何を言ってもへつらうメローニ首相と右派が率いる現イタリア政権に、将来への不安を覚えつつも、ガーリのような歌手がいて、そのガーリを応援し慕う若者が大勢いることに、そして、オリンピックの開会式で繰り返し伝えられた平和と共存への思いに、希望が見えるように思う今日この頃です。


↓ 記事がいいなと思ったら、ランキング応援のクリックをいただけると、うれしいです。
↓ Cliccate sulle icone dei 2 Blog Ranking, grazie :-)
にほんブログ村 海外生活ブログ イタリア情報へ  

Commented by katananke at 2026-02-12 11:28
このオリンピックの開会式で読まれた詩は この部分を見ておりません〜
素晴らしい詩が朗読されたのですね〜
ここで紹介してくださり 
Grazie mille~
Commented by koito_hari616 at 2026-02-12 12:16
こんにちは

日本も先日の選挙で右派と呼ばれる党が大勝しました
何故なんでしょう?
初めて知りました、開会式でこのようなセレモニーが有った事
(自分事ですが)今日、もう直ぐ3冊ほど絵本が届く予定なのです
2冊はドイツの絵本作家さんでホロコーストの事を絵本に書いておられるようです
とても優しい挿絵で。。
届いたら早く読みたいのですが。。。
凄いですね、ドイツの作家さんが絵本にホロコーストの事を書かれる。。
自分たちの事をしっかりと見てそして発信することが
表現者の正しい事かな?と、思ってしまいます
イタリアも国土を蹂躙されて悲しい思いを忘れずにいることは
良い事だと思います

Commented by Yukachin423 at 2026-02-12 20:40
日本のテレビではGhaliにたどり着けませんでした。まさかこんな素敵なパフォーマンスだったとは。。
ロダーリの詩、いいですね。“ Il pane” と “La luna di Kiev” も好きです。
Commented by kogechatora at 2026-02-13 07:09
訪日の際に高市首相と並んだ姿が絵になると盛り上がったメローニ首相、
移民排斥など思想的にも高市首相と同じ志向だったのですね。
世界が自国ファースト、軍事力増強で奪い合うことを目指す世の中…
尊重し合い助け合う世の中に方向転換させるにはどうしたらいいのでしょうね。
Commented by milletti_naoko at 2026-02-14 23:27
katananke05さん、こちらこそ読んで、
見てくださってありがとうございます♪
Commented by milletti_naoko at 2026-02-14 23:33
結うさん、こんにちは。
イタリアでも一度は右派が敗れたものの、また
政権に戻り、以前にも増して言論の抑圧や、女性の
選ぶ権利の制限など、せっかくの平等や自由への歩みが
逆戻りしていて、このままではと危機感を抱いています。
日本も選挙のたびに、今度こそ国民のためを思ってくれる人が
選ばれますようにと願い、今回は住民票を置いたままなので
できませんでしたが在外投票にもできる限り足を運んでいるのです
けれども、難しいですね。
イタリアは国土を蹂躙されたというよりは蹂躙したという意識の方が
強いことと思いますし、戦争は絶対にいけないと伝えるのは、
国や指導者の思惑や利益のためだけに人の尊い命が奪われることも
国が戦うこともあってはいけないという人道的な理由からだと思います。
Commented by milletti_naoko at 2026-02-14 23:37
Yukachin423さん、イタリアでも実は、開会式のアナウンスでは
ガーリの名の言及がない上に、顔が把握できる映像さえテレビでは
流れない状況だったので、マスコミでもSNSでも問題視されて、
あれこれ議論が戦わされていました。

ロダーリの詩、いいですよね。いろいろな詩をお読みになっているのですね。
Commented by milletti_naoko at 2026-02-14 23:39
kogechatoraさん、同じ女性であるだけではなく、
国を率いる人としては遺憾な思想が共通していることで
気が合ったのでしょうね。
それではいけないともっと皆が声を上げて、よい方向に
世界を変えていくことがどうかできますように。
by milletti_naoko | 2026-02-12 08:24 | Film, Libri & Musica | Comments(8)