イタリア写真草子 ウンブリア在住、日本語教師のイタリア暮らし・旅・語学だより。

太陽はいつも空の上 日が雲に隠れても夕焼けきれい マレンマ

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 先週、1月9日の朝は空が曇っていました。朝学校に着いたとき、他の言語の生徒さんが、「今日は空が曇っているから悲しいです。」と言ったほどです。「でもね、空の上にはいつも太陽があるでしょう」と、英語のことわざを思いつつあいさつして、日本語の教室に入り、授業を始めました。

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 そうして、「晴れ」と「曇り」の漢字について説明したときに、「ほら、くもりの漢字は、お日さまの下に雲を書くんですよ。雲の上には太陽があっても、雲の下にあるわたしたちからは、雲に隠れて見えないからです」と説明して、日本語の生徒さんの仲よしの友達である、「曇っているから悲しい」と言った生徒さんの絵を雲の下にかきました。

 幸い、そのうちに空が晴れてきたので、「ほら、太陽が顔を出したでしょう」と先ほどの生徒さんのところに言いに行ったら、「今は空も幸せですね」と笑顔で返事が返ってきました。父君が作家で、高校のときに習ったという芭蕉の一句を、イタリア語訳ではありますが今も覚えているだけあって、詩人だなあと感心しました。

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Spiaggia di Marina Alberese, Grosseto, Toscana 3/9/2024

 一方、昨年9月にトスカーナ州のマレンマの海に行ったときは、一泊の旅だというのに、到着した日の夕べの砂浜で、楽しみにしていた夕日が雲の中に隠れてしまいました。

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 けれども、そのおかげで

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いつになく美しい夕日と

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夕焼けを見ることができました。

 「塞翁が馬」の故事のもととなる漢文の物語を、わたしは日本の高校で国語を教えていたときに、漢文の授業でよく教えました。

 わたしたちは目に見えること、自分たちに分かることを基準に判断して、悩んだり喜んだり悲しんだりしがちですが、その結果として訪れる未来や天の意図、世のしくみというのは、表層だけしかつかめないわたしたちには判断するのが難しいなあ、「塞翁が馬というのは本当だなあ」と、思うことが今もしばしばあります。

 人生の荒波や暗い空の向こうにも、きっと明るい太陽や空が待っているのだと、そんなふうに信じて生きていけたらと思う今日この頃です。



 太陽が沈んで暗くなっても月が闇を照らすし、日の光は戻ってくるんですよと、先の生徒さんや他の生徒さんたちの前で廊下で歌った、アッシジの聖フランチェスコの人生を語るミュージカルの歌が教えてくれたように。


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ブログテーマ:【ギフト券プレゼント】「私の1枚」コンテスト
by milletti_naoko | 2025-01-14 05:54 | Toscana | Comments(0)